ホルタ氏は96年、インドネシアからの独立運動を主導したとしてノーベル平和賞を受賞。独立後は外相を務めた。30人以上の死者を出した昨春の騒乱で責任を取って辞任したアルカティリ前首相に代わり、暫定首相を務めている。独立闘争の英雄として国民的な人気があり、5年前の前回選挙で大勝したグスマオ大統領は立候補せず、ホルタ氏を支援する。
一方、ル・オロ氏は、ジャングルで独立闘争を続けた元ゲリラ兵士。議会で約6割の議席を占めるフレティリンに支えられている。同党幹事長のアルカティリ前首相は、昨春の騒乱時に民間人に武器を渡した疑惑が浮上したが、検察当局が今年2月に不起訴を決定。現在も党の実権を握り、ル・オロ氏と共闘する構えだ。
02年5月の独立後、グスマオ、ホルタ両氏が、国民の和解と国際協調を目指したのに対し、アルカティリ、ル・オロ両氏はフレティリンの組織固めを優先し、反政府勢力への強硬姿勢を強めたため、両派の溝は深まった。グスマオ氏は、大統領選後に予定されている総選挙に向けてフレティリンに対抗する新党の結成を準備しており、対立はさらに広がりそうだ。
同国では昨年5月、軍での出身地差別をきっかけに騒乱が発生。現在は国連平和維持活動(PKO)の国連警察などが治安を担っている。だが、反政府勢力のリーダー、アルフレド少佐は、現在も逃走し、若者の武闘集団による抗争や米の備蓄倉庫への襲撃も絶えない。こうした火種を抱えながらの選挙戦になる。