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2007年03月23日(金) 00時32分

6者協議、「休会」を宣言 金次官帰国、事実上の決裂朝日新聞

 北朝鮮の核問題をめぐる6者協議は22日、焦点となっていたマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)からの送金の問題が解決せず、事実上決裂した。議長国・中国は早期の再開を確認する議長声明を発表し、休会した。次回の日程は決まっていない。前回協議で朝鮮半島の非核化に向けた「初期段階の措置」の60日以内の履行が合意されたが、4月中旬に迫った履行期限はずれ込む可能性が高まった。

記者会見する中国の武大偉外務次官=22日午後6時37分、北京で

帰国の途につく北朝鮮の金桂寛外務次官=22日午後2時25分、北京空港で、代表撮影

6者協議の合意内容の流れと一連の動き

 中国の武大偉(ウー・ターウェイ)外務次官は同日夕、記者会見し、凍結されていたBDAの北朝鮮関連口座約2500万ドル(約29億円)の中国銀行への送金について「一定の時間が必要だ」と述べ、近日中の解決は難しいとの認識を示した。韓国代表団筋によると、22日午後、突然帰国した北朝鮮の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官は、送金が確認されれば6者協議再開前でも核活動の中断に応じる考えを示したという。

 今回の協議では、寧辺の核施設の稼働停止・封鎖や国際原子力機関(IAEA)の査察官復帰などが盛り込まれた「初期段階の措置」や高濃縮ウラン(HEU)問題、既存核施設の無能力化などの「次の段階」についても話し合う予定だった。

 インタファクス通信によると、ロシアのロシュコフ外務次官は22日、初期措置が「崩壊の危機にある」と厳しい見方を示した。一方、ヒル米国務次官補は「まだ60日以内の要求に間に合うスケジュール上にある」と強気な姿勢を崩さなかった。

 米国務省のマコーマック報道官は22日、送金の問題を打開するため、財務省のグレーザー次官補代理が近く北京を訪問することを明らかにするとともに、1、2週間内に6者協議の会合が開かれる見通しを示した。また、同報道官は非核化への「次の段階」が年内に完了できるとの考えで6者協議参加国が一致していると指摘。取り組みが順調に進むとの見方を強調した。

http://www.asahi.com/international/update/0322/017.html