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2007年03月23日(金) 00時00分

北を追い詰める米の分断作戦…中国は赤っ恥ZAKZAK

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は4日目の22日夕、出席を拒否していた北の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官の突然の離脱を受け、主席会合を開催。中国外務省の武大偉次官が「予想しなかった技術的かつ手続き上の原因だ」とする議長声明を発表し、再び休会した。

 今回の協議は、米国の金融資産凍結解除という大幅な譲歩で、北朝鮮を交渉のテーブルに引きずり出した。協議から離脱した北の“翻意”は、凍結されていたヤミ資産の送金が完了しなかったことが引き金となった。

 ただ、送金不能状態は米国が最初から画策していたトラブル。むしろ、中国銀行を経由することで、「想定内」のトラブルを米国が仕掛けたとの見方が有力だ。

 北のヤミ資金の受け入れ先とされていたのは中国4大国有銀行の一つである中国銀行。同行は、発行済み株式の6割以上を政府機関が保有しており、政府の影響力は強い。しかし、昨年6月に世界的金融市場である香港に株式を上場した。

 今年1月にはマネーロンダリング法を施行し、温家宝首相の肝いりで資金洗浄が疑われる取引への罰則強化を進めるなど、国際基準に沿った経営態勢の準備を進めている。そんな中で北のヤミ資金を受け入れることは、世界の金融市場から孤立しかねない。

 今回、中国銀行が北のヤミ資金の受け入れを拒否したことで、中国は「外交のリーダーシップ」より「国際金融市場の信頼性」をとらざるをえない結果となってしまった。金次官の帰国で、“弟分”にも愛想を尽かされた。

 一部ではこうした展開は資産凍結解除を主導した米国にも不利であるとの見方も示しているが、米国は国務省のマコーマック報道官が「今後1、2週間で再開される」と静観の見通しを述べ、ホワイトハウスのスノー報道官も事態を深刻視しない姿勢を示すなど余裕を見せている。

 政府筋は「今回のシナリオは完全に米国が描いている。中国にしてみれば実に巧妙に米国にやられている」と背景を説明する。「弱腰にも見える金融資産凍結解除も米国の計算のうち、米国の狙いは中国と北の分断にある」という。

 日本政府も、6カ国協議再開のため、拉致問題にあえて目をつぶり、日本を除く5カ国による支援に賛同した。この思惑について、政府筋はこう解説する。

 「北の核の最大の仮想被害国は日本。拉致問題も棚上げされ、協議でも『蚊帳の外』に見える日本だが、今まで北にキャッシュディスペンサーのように扱われてきた日本が、今回はエネルギー支援に参加しないことを他国に納得させた。日本は弱者を装う強者だった。外交方針の転換は長期的視野で北を追い詰める」

 今まで散々、北にタカられ続けてきた日本。そして、北に対して柔軟路線に転換したかに見える米国。だが、両者は水面下でしたたかに中朝分断を狙っていたのだ。 

ZAKZAK 2007/03/23

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007032317.html