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2007年03月22日(木) 00時00分

慎太郎危機感…浅野氏、エリート官僚出身の悪弊もZAKZAK

 「石原氏の基礎票は200万票、浅野氏は130万票とみる。石原氏は現状維持がやっとだが、浅野氏にはプラス要因がある。浅野氏が本気で勝負を賭ければ意外な展開になるのだが…」

 政治評論家の浅川博忠氏は思わせぶりにこう語る。

 夕刊フジが入手した世論調査の結果=別表参照=を見る限り、石原氏と浅野氏の差は極めて微妙だ。これらは今月上旬から先週末にかけて行われたもので、差は8.2%から12%。平均値は10.8%となる。

 今年1月の宮崎県知事選で、東国原(ひがしこくばる)英夫(そのまんま東)知事は、投票1週間前まで10%前後の差を付けられていたが、最後に無党派層を取り込んで一気に大逆転している。10%前後の差では、今後、何があっても不思議ではないのだ。

 こうした情勢は3選を目指す石原陣営も把握。前回300万票を獲得した勢いはないだけに、打ち出した選挙戦術が「笑顔」だという。

 「昨年末、四男が都の文化事業に関与していることを指弾された際、知事はカッとなって『余人をもって代えがたい』『一体何が悪い』と開き直った。あの映像が繰り返し流れて、傲慢(ごうまん)なイメージが増幅した。これを打ち消すため、周囲は『笑顔で』とアドバイスしている。知事は従っているが『我慢のし通しでイライラするよ』ともらしている」(選対関係者)

 テレビ討論などで対立候補に厳しく攻撃されても、石原氏が笑顔を崩さないのは、こうした計算があるためだ。

 告示前日の21日には、石原氏側が公明党幹部に「政策実現のため力を貸していただきたい」と支援を要請した。

 「かつて、同党の支持母体である創価学会最高幹部を“巨大な俗物”と揶揄(やゆ)したこともある石原氏だが、背に腹は替えられなかったようだ」とは政界事情通の1人。

 また、実弟の裕次郎が率いた「石原プロ」の人気俳優、渡哲也、舘ひろしらの選挙応援についても苦慮している。「身内重用が批判対象となっている選挙で、身内といえる石原軍団を動員することがプラスかマイナスか測りかねている」(選対関係者)というのだ。

 これに対し、浅野氏は「反石原」色を前面に出して選挙戦を展開。

 宮城県で徹底的に情報公開を進めた浅野氏だけに、都が情報公開で最下位にあることをアピールするため、自ら都庁に出向いて情報公開を申請。石原氏が決めた築地市場の移転先が有害物質で土壌汚染されていると聞くと、即視察に出掛けて問題提起を行った。

 このため反石原勢力の受け皿にはなっているようだが、現時点では無党派層を引き込むような爆発的勢いがないのも事実。

 「白黒をハッキリ言わず、面白みがない。候補者数人と並ぶと埋没感がある。対立候補に批判されてムッとするのはエリート官僚出身の悪弊。勝手連の中に共産党より『左』の市民活動家がおり、支持拡大を阻害しているようだ」と、ある永田町関係者。

 前出の浅川氏は「浅野氏が本気ならば、石原知事の私物化問題のデータを集め、『このような人物は都知事にふさわしくない』と都民に徹底的に訴えるべき。ともかく迫力がない。このままでは石原氏が逃げ切るだろう。捨て身で戦わないと、有権者には伝わらない」という。

 自民党の調査では、石原氏は多摩地区や台東区、葛飾区などで優勢で、浅野氏は目黒区や世田谷区などで優勢。高齢者が多い地域は石原優勢で、若者が多い地域で浅野優勢という見方もある。

 1040万人の有権者はどのように判断するのか。

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ZAKZAK 2007/03/22

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