記事登録
2007年03月22日(木) 00時00分

顔ぶれ多彩投票率注目朝日新聞

 今後4年間の首都のかじ取り役を決める都知事選が22日に告示される。現職の石原慎太郎知事(74)は2期8年の実績を強調。前宮城県知事の浅野史郎氏(59)、元足立区長の吉田万三氏(59)、建築家の黒川紀章氏(72)、発明家のドクター・中松氏(78)=本名・中松義郎=ら多彩な顔ぶれも立候補を予定しており、「反石原」色を強めている。投開票日は4月8日だ。

 都選管によると、21日までに立候補に必要な事前審査を終えたのは11人。候補者は前回(03年)の5人を上回るのは確実な情勢だ。都選管が発表した21日現在の有権者数は1041万9204人。4年前より35万6365人増えた。

 今回の焦点の一つは投票率だ。

 前回は2期目に挑んだ石原氏に新顔4氏が挑む構図だったが、候補者は戦後最少。事実上の「信任投票」で投票率は過去2番目に低い44・94%だった。故青島幸男知事が再選出馬を告示直前に断念し、著名人が乱立して過去最多の19人が立候補した前々回の99年より約13ポイントも下落した。

 今回も知名度のある立候補予定者が複数おり、選挙前から激しい政策論争を重ねているだけに、どれだけ投票率が上がるかが注目される。過去最高の投票率は故美濃部亮吉氏が再選された71年の72・36%だった。

 投票率アップに貢献しそうなのが、都知事選では今回から導入される「期日前投票制度」だ。03年の公職選挙法改正で認められた制度で、投票日に仕事や諸事情で投票できないと見込まれる有権者が対象だ。従来の「不在者投票」より手続きが簡素化されたため、すでに導入されている国政選挙では投票率アップに貢献している。

 今回はマニフェスト(選挙公約)の配布も認められるようになった。すでに各地では、これまでの抽象的な「公約」にかわり、実現の期限や手順、財源などを項目ごとに示したマニフェストを掲げた選挙が主流になりつつある。

 公選法の改正でマニフェストを盛り込んだ政策ビラの配布が今回から可能になり、都知事選の主な立候補予定者も、すでに詳細なマニフェストを公表している。その内容の具体性や実現性を有権者がどのように判断するか。選挙への関心を高めることができるかも関係者の関心を集めている。

 3選を目指す石原氏の獲得票数にも注目が集まる。前回は約308万7千票。都知事選では過去最高の得票率(70・21%)を記録した。しかし、今回は浅野氏ら有力なライバルが立候補を予定する。石原氏は高額な海外出張費や身内の重用問題などで激しい批判を浴びる逆風の中の選挙となる。

■主な陣営こう戦う

 多様な関心。巨大な無党派層。知事選をどう戦うのか。主な立候補予定者の陣営に聞いた。(50音順)

■浅野史郎陣営

 白木福次郎・事務局長 挑戦者として愚直に、まじめに真っ向勝負を挑む。資金は100円カンパを募って集め、勝手連の支援の輪を広げる「浅野式」を貫く。候補者は時に地下鉄を使い、路地をジョギングしながら休みなく走り続け、できる限り多くの都民に直接会って訴えていく。高齢者や障害者など社会的弱者に光を当てることが、誰にも安心して暮らせる都市づくりにつながることを強く訴えたい。

■石原慎太郎陣営

 兵藤茂・選挙対策本部事務長 こちらは現職なので、小手先の選挙戦術でどうこうはせず、王道を進んでいく。キャッチフレーズの「都民くらし満足度世界一」を掲げ、2期8年の実績と政策を訴え、正々堂々と着実に選挙戦を進めていく。知事の海外出張や都文化事業の四男登用など一連のネガティブな報道の影響で過去2回の選挙に比べ、危機感を持って臨んでいる。幅広い層に支持を求めていきたい。

■黒川紀章陣営

 伏原靖二・選対本部事務局長 後退した福祉や拡大する格差の解決のための一極集中排除の必要性、文化と経済の共生、環境を破壊する五輪の中止などを訴え、無党派層の支持を中心に求めていきたい。政党の支援がない分、ポスター張りなどで不利な面はある。だが、泥臭い従来の選挙活動ではなく、斬新でモダンな手法で戦いたい。本人は「下町のナポレオン」を自称しており、下町を重点的に回る。

■ドクター中松陣営

 花島行男・選対本部長代理 本人がモデルのドキュメンタリー映画の制作にハリウッドが乗り出したことなどを例に挙げ、「世界的な知名度の高さ」を改めてアピールしていく。演説に力を入れてマニフェストの中身や考えも伝えていきたい。都知事に求められる資質として今回新たに示した「東京に先祖代々住んでいる人」「都政を発明できる能力がある人」などの5条件も積極的にPRしていく。

■吉田万三陣営

 「革新都政をつくる会」の徳留道信・選挙事務長 都民が新知事に最も期するのは医療や福祉の充実だ。これまでのテレビ討論で知名度も上がった。石原都政を追及する姿に加え、福祉や暮らしで一番はっきり主張している点も伝わり始めている。無党派層を含め、どうやって候補の実績や人柄を訴えられるかが鍵だ。有権者が集まる街頭で一人でも多くの人々に語りかけ、草の根から支持を広げていきたい。

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000703220001