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2007年03月22日(木) 07時08分

高額株取引の420人が70億円申告漏れ 名古屋国税局朝日新聞

 高額な株取引があった東海地方の個人投資家ら約660人が名古屋国税局の税務調査を受け、約64%に当たる420人余りが05年までの3年間で総額約70億円の株式譲渡所得の申告漏れを指摘されたことが分かった。持ち株を売った後、買い戻す「クロス取引」で10億円を超える利益が出たが計上しなかったほか、利益を隠し、損失だけを申告するケースもあったという。一部に所得隠しがあったとして、重加算税を含め追徴課税した模様だ。株式譲渡所得の課税方法変更の税制改正に加え、インターネット取引が増えたことが申告漏れにつながったとみられる。

 関係者の話を総合すると、最も申告漏れが大きかったのは愛知県尾張地方の会社役員。手持ち株券価格が大幅に上がり、クロス取引をしたところ、取得時との差額で10億円超の利益が出たが、申告しなかったという。

 このほか「長年取引していて、1年1年の利益を計算していない」「2年間利益が出なかったため、05年も利益が出ていないと思った」など、株式譲渡所得があったのに全く申告しないケースが目立った。こうした過少申告加算税の対象は約410人で、総額約65億円とみられる。

 所得隠しを指摘されたのは、愛知、岐阜、静岡の3県の計10人で、総額が約3億円に上ったという。一部の証券会社を通じて取引して得た譲渡所得だけを申告して、ほかの証券会社での取引分を申告から外すなどしていたとされる。取引書類の破棄もあったという。

 株式譲渡所得の課税は売却代金から天引きされる源泉分離と、売却益を自ら申告する申告分離の方法があったが、02年度の税制改正で申告分離に一本化された。投資家は申告不要の口座を選べるが、調査は確定申告が必要な一般口座を対象に行われた。本格調査は改正後初めてとされる。

http://www.asahi.com/national/update/0322/NGY200703210010.html