記事登録
2007年03月22日(木) 21時53分

タミフルと異常行動の関係、「否定的」を撤回 厚労省朝日新聞

 インフルエンザ治療薬「タミフル」を服用した患者に異常行動が相次いでいる問題で、厚生労働省は22日、服用との因果関係に否定的だった、これまでの見解を撤回した。死亡例以外にも多数、飛び降りたり転落したりする異常行動が明らかになったうえ、こうしたケースの内容を調べず、判断材料にもしていなかったことを重視した。今後、すべての転落事例などを調査して、新たに判断し直すという。

 見解の撤回は、辻哲夫事務次官が記者会見で述べた。同省は近く、タミフルの副作用を評価するため、これまで死亡例しか諮っていなかった薬事・食品衛生審議会で、01年2月の発売以降に報告されている約1800件の副作用報告を議論してもらう。因果関係を「否定的」としていた死亡例も再評価する。

 タミフル服用と異常行動の関連性について、同省は10代への使用を原則制限する方針を示した21日の記者会見の際も、「否定的」との見解は崩さなかった。死亡例の調査と、同省の研究班が昨年度に約2800人を対象に行った統計結果を根拠に判断してきた。

 同日の会見で公表した2件の飛び降り事故を受けて、初めて調査したところ、死亡例以外にも、飛び降り・転落の事故が多数あることを知ったという。服用との因果関係について、辻次官は「今後、検討する中で、判断が変わる可能性がある」と述べた。詳しい分析をしなかったことには、医薬食品局の黒川達夫審議官は「副作用の情報は膨大なので、死亡例に重点を置いて調査していた」と説明している。

http://www.asahi.com/life/update/0322/012.html