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2007年03月22日(木) 12時51分

石原都政8年問う 政策競い真っ向勝負朝日新聞

 首都圏では22日、東京都と神奈川県で知事選が始まった。東京では8年間続いた石原都政が問われる選挙戦となる。これからの4年間、五輪を招致してより「強い東京」をつくるのか、福祉などに力を注ぎ格差をやわらげることが先決か。都内各地で舌戦を始めた主要5候補の訴えから、現職の石原慎太郎氏と「反石原」包囲網の対決という構図が鮮明になった。

都知事選がスタート。候補者の第一声に支持者たちが集まった=22日午前9時42分、東京都内で

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 自民、公明両党が支援する石原慎太郎氏は立川市のJR立川駅前で、長男の石原伸晃・自民党都連会長や選挙対策本部長を務める佐々淳行・元内閣安全保障室長らと並んで第一声をあげた。

 石原氏はブレザーに身を包み、「東京の10年先の設計図のひとつは三多摩なんです」と切り出した。続いて、2016年の五輪の招致について触れ、「そのためにやるわけじゃないが、閣議了解で決定してもらえば、棚上げになっていた東京外郭環状道路と圏央道が10年たったらできあがります」と演説場所の地元多摩地区を意識し、訴えた。

 批判を受けた高額な海外出張問題についても触れ、「説明不足で反省していますが、結果を見てください」と釈明。「(米軍基地の再編で)米国に何度か行き、横田の空は半分かえってきました」と空域返還を自身の実績として強調、「みなさんの力を貸してください」と締めくくった。

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 民主、社民両党の支援を受ける前宮城県知事の浅野史郎氏は、自ら都選管に立候補の届け出を行った後、新宿で第一声をあげた。

 「石原都政は言動も政治姿勢も傲慢(ごうまん)そのもの。失われた8年を取り戻すために私は立ち上がった」。東京五輪の招致も「近隣諸国に見せつけるための国威発揚の五輪は今必要でしょうか」と批判。「情報開示度が最下位付近をうろうろしている『見えない都政』を、あと4年我慢できますか」と訴えた。

 一方で「私の本籍地は福祉」と、厚生省職員や県知事としての実績を強調。障害者とお年寄りが助け合って暮らす共生型グループホームの整備など、「弱者」の視点に立った施策を掲げ、剛腕なイメージの石原氏と自らを対比させた。

 演説後に都庁舎から約700メートル離れた選挙事務所に移動。歩道に置いた台の上から「一人ひとりが都政を考え抜く選挙にしたい」と呼びかけた。

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 共産党が推薦する元足立区長の吉田万三氏は、新宿駅西口で同党の志位和夫委員長や都議らとともに第一声。「2期8年で次々と暮らしや福祉、障害者の予算が削られた」と石原都政を批判した後、「都民の暮らしが大変な時に、大規模開発を目的とした五輪計画は白紙に戻すべきだ」と主張した。

 高齢者向け医療費助成などの公約を掲げ、「今こそ、税金の使い道を福祉優先に切り替えなければいけない」と声をあげた。「憲法を守る」と訴えるのも忘れなかった。

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 自ら立ち上げた「共生新党」党首として届け出た建築家の黒川紀章氏も新宿の都庁近くの路上で第一声。「知事としての経験はないが、50年にわたって都市計画に携わってきたことを生かし、ガラス張りの都政を目指す」と述べた。築地市場の移転問題については「市場と一体だった下町の文化が破壊される」と、反対の立場を表明した。

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 発明家のドクター・中松氏=本名・中松義郎=は4回目の都知事選。多くの若者たちが行き交う渋谷駅のハチ公前で第一声をあげた。都知事に求められる条件を満たすのは自分だけだとアピール。自らの発明の才能を強調した上で、「肉体的オリンピックではなく、才能オリンピックをする。誘致の費用もかからず、東京を有名にできる」と訴えた。

http://www.asahi.com/politics/update/0322/005.html