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2007年03月22日(木) 00時00分

『厚労省は後手後手』憤り 服用後に死亡事故の遺族ら 全面中止の訴えも 東京新聞

 服用後の異常行動による事故が相次いだことを受けて、厚生労働省が十代の患者に原則として使用中止としたインフルエンザ治療薬「タミフル」。これに対し、タミフル服用後に子供が亡くなった遺族からは「安全性が確認されるまで、使用を全面的に中止すべきだ」との声も上がった。 

 「薬害タミフル脳症被害者の会」の代表軒端(のきば)晴彦さん(49)=岐阜県下呂市=は二〇〇四年二月、高校二年の長男=当時(17)=がタミフルを服用した直後に道路に飛び出し、トラックにはねられて死亡した。

 軒端さんは昨年七月、同じ遺族らと「被害者の会」を結成。厚労省にタミフル服用と異常行動の因果関係を認め、医療関係者や国民に警告するよう要望してきた。

 そんな中、今年二月、愛知県蒲郡市と仙台市で中学生がマンションから転落死する事故が相次いだ。「もっと早く警告が出されていたら、死なずに済んだかもしれない。厚労省の後手後手のやり方に憤りを感じる」と、軒端さんは批判。「幼い子でもタミフル服用後の異常行動が報告されており、使用中止の対象年齢を十代に限るのはおかしい」と主張する。

 江泉(えずみ)雅絵さん(29)=栃木県足利市=の二男温翔(はると)ちゃん=当時(2つ)=が亡くなったのは〇五年二月。タミフル服用から約三時間後の突然死だった。

 江泉さんも「九歳と十歳で年齢を区切ることに意味があるのか。あいまいな対応をとり続けるのではなく、安全性が確認されるまで、使用を全面的に中止すべきだ」と訴えた。

■「因果関係ない」 製造元が反論

 【ジュネーブ=共同】インフルエンザ治療薬「タミフル」の製造元のスイス製薬大手ロシュは二十日、タミフルの服用と異常行動には因果関係がないとする声明を発表した。

 ロシュは臨床的な研究の結果として、タミフルを服用したインフルエンザ患者と服用しなかった患者の異常行動の起きる比率は同程度だと主張。

 また、同社が米国の健康保険記録を調べたところ、一九九九年から二〇〇六年までにタミフルを服用した約十万人のインフルエンザ患者と、服用しなかった約二十二万五千人の患者の比較では、タミフルを服用していた患者の方が異常行動の発生の比率が低かったことが分かったとしている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070322/mng_____sya_____006.shtml