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2007年03月21日(水) 00時00分

石原都政、どう判断朝日新聞

 都知事選が22日に告示される。3選を目指す現職の石原慎太郎知事(74)のほか、新顔の前宮城県知事の浅野史郎氏(59)、元足立区長の吉田万三氏(59)=共産推薦、建築家の黒川紀章氏(72)、発明家のドクター・中松氏(78)=本名・中松義郎=らをはじめ、10人前後が立候補すると見られる。石原氏以外の主な立候補予定者は、いずれも反石原色を出しており、2期8年の石原都政を都民がどう判断するかが注目される。

 公職選挙法の改正で、今回から政権公約(マニフェスト)の配布が認められるようになり、各立候補予定者が立候補表明にあわせて具体的な公約を提示する動きが相次いでいる。今回の選挙では、少子高齢化対策や福祉・教育の充実、環境問題や格差是正といった都政が直面する課題に加え、石原氏がめざす五輪招致の是非や情報公開のあり方、新銀行東京の処理策なども争点になりそうだ。投開票日は4月8日。

 都選管などによると、20日現在で48人が立候補届け出に必要な書類を入手し、うち11人が事前審査を終えている。宮崎県で新顔のタレント出身者が政党などに頼らずに当選したこともあり、知事選でもタレントらが相次いで立候補を表明している。

 まだ数人が立候補の動きを見せているといい、候補者は5人だった前回を上回るのは確実と見られる。候補者が最も多かったのは石原知事が初当選した99年で19人だった。

 石原氏は、高額な海外出張費や接待相手が不明朗な知事交際費、四男の重用問題などを巡って激しい批判を浴びた。このため、「自身の政治姿勢にも反省すべき点が多々あった」と謝罪。初心に帰ることを意味する「東京再起動。」をキャッチフレーズに掲げる。

 最重要課題として治安対策や環境問題、教育や子育て支援策などを挙げる。一方で、これまで3選立候補の主な理由だとしてきた16年夏季五輪は、各種の世論調査で都民の関心が高くないとの結果が相次いだことなどから、「最重要課題ではない」とトーンダウンしている。自民党が決めた推薦を辞退したが、同党は「推薦候補と同レベルの支援をする」としている。

 浅野氏は、実施手順や期限、数値目標や財源を掲げた詳細なマニフェスト「日本のための東京 あなたと創(つく)り直す」をまとめた。旧厚生省出身らしく、福祉の充実の重要性を訴える。少子高齢化対策や保育所の待機児童解消、障害者支援策を掲げている。

 五輪招致は、当初は賛否を明確にしなかったが、20日に発表した改訂版のマニフェストで「全面見直し」を打ち出した。特別チームで費用や環境への影響を調べるとともに都民から意見を募り、反対の意向が強ければただちに招致を中止するという。石原氏の発案で設立され、大幅な赤字に陥っている新銀行についても、解体的見直しを打ち出した。民主・社民両党が支援する構えだ。

 吉田氏は主な立候補予定者で唯一、政党の推薦を受けた。石原、浅野両氏を「政党の支援を受けながら隠そうとしている。都民をだましている」と厳しく批判する。石原都政を「私物化、税金の無駄遣いが横行し、都民の暮らしや福祉が軽んじられ、憲法の精神が否定された」と指摘。都営住宅を1年で1千戸増やすことや五輪計画の白紙撤回を掲げる。

 黒川氏と中松氏は政党の支援を受けない。両氏も石原都政には批判的で、黒川氏は都庁舎や新銀行の民間売却などを、中松氏は「これまでの発明を生かして都民の健康と安全を守る」などと訴えている。

■古川のぼる氏立候補を断念

 都知事選への立候補を表明していた教育評論家で日本家庭教師センター学院(中野区)名誉院長の古川のぼる氏(72)が20日、都庁で会見し、愛称である「ふくろう博士」の選挙での使用が認められなかったことや体調不良を理由に立候補を断念することを表明した。都選管は「著作物などには古川氏の本名も入っており、愛称での立候補は認められない」と判断した。

■風水学研究家内川氏出馬へ

 風水学研究家の内川久美子氏(49)が20日、都知事選への立候補を表明した。

 内川氏は「内川あ也」の名前で活動している。立候補の動機について「都民の半分以上が女性なのに、男性の候補者だけで選挙が行われていくのはバランスが悪い」と説明。選挙戦では、築地市場の豊洲移転中止を訴えていくという。

■関口・国立市議立候補を表明

 4月の国立市長選に、同市議の関口博氏(53)=無所属=が20日、立候補することを表明した。今期限りで引退を表明している上原公子市長(57)の支持者らが立候補を要請、事実上の後継候補となる。市長選にはすでに新顔2人が立候補を表明している。

 関口氏はこの日の会見で、「市民参加でまちをつくってきたが危うい状態にある」と述べ、立候補を表明した。「住基ネットの切断を継続したい。市に大型開発はふさわしくなく、国立駅舎は木造での再築を目指したい」とも述べた。民主や共産、東京・生活者ネットが推薦する見通し。

 関口氏は99年、市議に初当選し現在2期目。市議会では市長与党の2人会派「新しい風」に所属している。

 2期目の上原氏は4月の任期満了での引退を表明。上原氏は市長選で関口氏の支援にまわるとみられる。

 市長選には、元都収用委員会事務局長の嶋津隆文氏(59)=自民、公明推薦=と、元フリーアナウンサーの山下容子氏(48)の2人がすでに立候補を表明している。

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000703220002