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2007年03月21日(水) 00時00分

危険な生活道に光 国分寺朝日新聞

 東京都国分寺市に地元の住民が危険と訴える道がある。幅4メートルに満たない「生活道路」に車が大量に入り込み、歩行者を脅かす。約40年にわたって改善を求めてきたその道が今年、歩行者優先の道づくりを掲げた国土交通省の「くらしのみちゾーン」に登録された。地元で決めた事業計画に国の補助や支援が得られる。「ようやくスタートラインに立てた」。地元の人たちの期待は大きい。(石川幸夫)

 「過去40年間、あらゆる努力を行ってきました」。今月17日、国分寺市内で開かれた「第1回まちづくり市民大学」。これまでの取り組みを報告した地元の代表者は、この間の苦労を訴えた。

現場は同市新町2丁目。都立国分寺高校のグラウンド脇を南北に抜ける長さ約600メートルの「高校東通り」だ。幅は3.64メートル。車1台が通るのがやっとの一方通行路。通学路にもなっている。

 この細い道を絶え間なく車が通過する。昨年の調査では、朝のピーク時に1時間あたり約500台を記録。制限速度の20キロはほとんど守られていなかった。地域を南北に貫く府中街道と東西に延びる五日市街道が近くにあり、その渋滞を避ける「抜け道」として使う車が多いという。

 歩道はなく、狭い路側帯を歩く人に車のサイドミラーが当たることもある。「大人なら腕ですが、子供だったら頭の位置です」と、地元の住民は危険性を話す。

 車が増え始めたのは約40年前という。市や警察に対策を要請したり、市長にファクスを送ったりしてきた。02年からは自治会が協議会をつくって問題に取り組むようになったが、有効な対策は見いだせなかった。

 新たな動きが生まれたのは05年。国分寺市が、市民と行政が協働でまちづくりに取り組むことを掲げた、まちづくり条例を作った。同地区での活動もその中に位置づけられ、地元と市の協議でつくられた計画はそのまま市の事業になることになった。

 昨年には、国交省が公募した社会実験に参加。車の速度を抑えるため、路面にハンプと呼ばれる凸型をつけたり、ポールを立てて車道を制限したりする実験をした。アンケートも実施、効果についての調査結果は近くまとまる予定だ。

 今回登録された国交省の「くらしのみちゾーン」は、歩行者や自転車を優先とする道づくりを目指す施策。生活道路などで交通事故が多発していることを背景に、03年から始まった。現在、全国で50カ所を超える地区が登録を受けている。

 計画策定費や事業費の補助、ノウハウの提供などを受けられる。国交省によると、事業の完了までおおむね5年を見込んでいるという。

 地元で改善を願い続けてきた協議会のメンバーの男性は「行政と一緒に活動できることは大きな一歩だと思う。ようやくスタートラインに立てた。一日も早く、安心して歩ける道を取り戻したい」と話している。

http://mytown.asahi.com/tama/news.php?k_id=14000000703220002