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2007年03月20日(火) 00時00分

船越英二さん死去、長男英一郎みとれず朝日新聞

 映画、テレビドラマで活躍した俳優船越英二(ふなこし・えいじ)さん(本名・船越栄二郎=ふなこし・えいじろう)が17日午後10時57分、脳梗塞(こうそく)のため静岡県内の病院で死去した。84歳。長男の俳優船越英一郎(46)は、仕事のため最期をみとることができなかった。葬儀・告別式は密葬とし、近親者のみで行う。

 関係者によると、船越さんは今月15日朝、神奈川県内の自宅で突然倒れ、救急車で病院に搬送された。わずかに意識があったものの、翌16日夜になり容体が急変した。17日午後10時57分、妻と娘夫婦に見守られ、眠るように息を引き取った。その日は船越さんの誕生日だった。妻は元女優の長谷川裕見子さん。

 長男英一郎は16日夜、千葉県内のロケ地で妹から電話を受け、船越さんが意識不明の状態にあることを知った。17日早朝に病院に駆け付けたが、船越さんの意識は戻らず、ロケに戻った。船越さんが亡くなったのは、その日の撮影を終えて病院に向かう途中だった。英一郎は主演映画「マリと子犬の物語」と、テレビ朝日主演ドラマ「京都河原町・副署長の事件ファイル」の撮影を同時に進めており、多忙を気遣った家族は16日まで連絡を控えていた。

 船越さんは1947年に大映第2期ニューフェースに合格し、映画「第二の抱擁」でデビュー。大映の看板スターとしてルックスを生かした二枚目役で活躍し、市川崑監督の「野火」(59年)では極限状態にある一等兵の鬼気迫る演技が絶賛された。性格俳優に転じて以降はコメディー、スリラー、ホームドラマ、SF、時代劇などさまざまなジャンルをこなす演技派として活躍し「四十八歳の抵抗」「夜の蝶」など約200本の映画に出演した。

 71年の大映倒産後は活動の場をテレビに移し、「時間ですよ」の銭湯の主人役や「熱中時代」の校長役など人気ドラマに数多く出演。軽妙でコミカルな味わいを持つ脇役として親しまれた。

 99年に俳優を引退して以降は、神奈川県内の自宅で妻と娘夫婦とともに暮らしていた。40代からやや心臓に疾患があったものの、大きな病気もなく、健康だった。趣味の庭いじりや、妻との旅行など穏やかに暮らしていた。01年に英一郎がタレント松居一代(49)と結婚した際には、松居が子連れで離婚歴があることから反対していたとされ、その後も認めることはなかったと伝えられている。

 英一郎はこの日も仕事でロケを行い、周囲に心配をかけないよう元気に振る舞っていたという。近日中に会見を行う。

http://www.asahi.com/culture/movie/NIK200703200008.html