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2007年03月20日(火) 00時00分

松崎しげる「間違ったことはしてない」朝日新聞

 業務上過失致傷と道交法違反(無免許)の疑いで書類送検され、不起訴処分となった歌手松崎しげる(57)が、約1カ月ぶりに仕事を再開した。国際免許が02年の道交法改正で無免許状態になった。故意ではないのに送検されたことに不満を感じながら、家族への悪影響も心配していた。「噂の刑事」が警察と“闘った”日々を振り返った。

 不起訴処分に、ほっとしている。正義感と不安のはざまで揺れた1カ月について松崎は「親として、子供には間違ったことはしていないと、しっかりと親の背中を見せたかった。今回の処分は、警察にも怠りがあったと検事の方も分かってくれたのではないか」と打ち明けた。

 青天のへきれきだった。自分が無免許だと知ったのは昨年11月、バイクの男性と接触事故を起こした時だった。警察の事情聴取で89年に米で取得した国際免許が、02年の道交法改正で海外滞在期間が3カ月未満では運転ができないことを知った。2月の送検後は「無免許、書類送検」の文字がメディアに躍りCMやテレビ番組も失った。

 松崎はすぐに謹慎を受け入れたが、無免許については「悪いことはしていない」と主張した。送検直前の警察の事情聴取でも「02年以降も検問も普通に通れた。米で免許更新した際も、法改正について何の説明もなかった」と突っ張った。会見を開き、警察の落ち度を指摘した。具体的な法的手続きは取らなかったが、警察への“反乱”に、浩代夫人(34)も「あなたの言うことは正しい」と後押ししてくれた。

 当たり役の「マツ」と同じように正義感に燃えたが、不安もあった。長女が私立小学校に合格したばかりだった。「気持ちを話したにもかかわらず、書類送検されたときはショックでした。長女は毎日、勉強して、僕の送検で入学を取り消されたら本当にかわいそうだと…」。

 不安を消してくれたのも家族だった。謹慎中、普段は取れない子供との時間を楽しんだ。風呂の壁に張った「九九」や「アルファベット」を子供たちと暗唱するうち、心の揺れが静まった。「今はすごくスッキリした気分。仕事で何倍にもして返しますよ」。

 60歳になったら再び免許を取得するという。「子供を学校に送っていく車の中がコミュニケーションの大事な時間ですから」。1月に誕生した二女が20歳になる、77歳までは一線で歌い続ける。新たな目標もできた。

http://www.asahi.com/culture/news_entertainment/NIK200703200009.html