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2007年03月20日(火) 19時58分

ゼネコン5社と担当者を独禁法違反で起訴 地下鉄談合朝日新聞

 名古屋市の地下鉄工事をめぐる談合事件で、名古屋地検特捜部は20日、公正取引委員会から告発を受けた大手ゼネコンの大林組など法人としてのゼネコン5社と、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕した大林組名古屋支店元顧問の柴田政宏容疑者(70)ら各社の業務担当者5人を同罪で起訴した。同罪でのゼネコンの起訴は初めて。昨年1月の改正独禁法施行で、全国の地検で可能になってから、大阪地検特捜部の汚泥・し尿処理施設談合事件に次いで2例目となった。

 起訴されたのは、法人が、大林組のほか、大手ゼネコン「鹿島」「清水建設」、準大手ゼネコン「前田建設工業」「奥村組」と、柴田容疑者のほか、鹿島名古屋支店次長の浜島哲郎(57)▽清水建設名古屋支店元営業部長の河島嘉(みよし)(61)▽前田建設工業中部支店元副支店長の柴田幸男(59)▽奥村組名古屋支店元次長の後藤邦夫(63)の各容疑者。

 起訴状によると、柴田政宏容疑者ら5人は共謀し、名古屋市が昨年2月以降に実施した市営地下鉄6号線(桜通線)延伸工事の9工区の入札で、05年12月上旬から中旬ごろ、大林組名古屋支店に集まって談合し、各工区の落札業者を決定するなどして、入札の競争を制限したとされる。

 調べでは、5容疑者らは、大手ゼネコン4社の05年12月下旬の「談合決別」後も談合を続けていたことが判明。4社の名古屋支店の業務担当者が「決別」直後に、大林組の同支店に集まり談合継続を確認したり、河島、浜島両容疑者が、2月の入札直前に流れた談合情報を外すため「再談合」し、それぞれを筆頭とする共同企業体(JV)の落札予定工区を入れ替えたりした。

 名古屋市が昨年2月と同6月に実施した同工事の5工区の入札では、鹿島、清水、前田、ハザマ、奥村のJVが落札。今年入札予定の4工区でも、最大の工区を大林組を筆頭とするJVが落札するなど落札業者が決められていたとされる。

 談合で1工区を落札したJVの筆頭でありながら、「課徴金減免制度」(リーニエンシー)を利用して自主申告した準大手ゼネコン「ハザマ」と業務担当者は、公取委の告発と、起訴を免れた。

 会社代表者の責任を問う同法の「三罰規定」の初適用も視野に、大林組など大手ゼネコン3社の社長、副社長らから任意で聴取した。しかし談合を放置したことなどは明確に裏付けられず、適用は見送った。

http://www.asahi.com/national/update/0320/NGY200703200006.html