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2007年03月20日(火) 00時00分

都知事選候補者と米大学との知られざる不思議な関係ZAKZAK

 22日告示の東京都知事選。さまざまな学歴や経歴を誇る人物が出馬を予定・検討しているが、あまり聞き慣れない米国の大学に関係している人々も。「同窓会理事」「副学長」「博士」などの肩書で名前を連ねているのだが…。本人たちに話を聞いてみた。

 米国の大学にかかわっていたのは世界的建築家の黒川紀章氏(72)=写真上=と、「ドクター中松」こと発明家の中松義郎氏(78)=同中。「フクロウ博士」こと教育評論家の古川のぼる氏(72)=同下=の3氏。

 黒川氏が一時期、同窓会理事を務めていたのはカリフォルニア州にあるというアナハイム大。HPやパンフレットの説明では通信制で、何とオンライン学習でMBA(経営学修士)を取得できるという。日本事務局は東京・南青山のビルにある。

 黒川氏は同大HPで≪教育の向上のため尽力下さっています≫との文言とともに2002年から04年までは同窓会理事会議長を務めたことが写真入りで紹介されている。

 この大学との関係について、黒川氏は「私は創立者の1人で、3分の1の株を持つ大株主」と明かし、「就学機会の少ないマイノリティーのMBA取得のため、総額100億円の奨学金を創設した」と、慈善事業であることをアピールする。

 同大のHPでは黒川氏以外にも多くの著名人が理事として紹介されている。その中には中松氏もいるが、中松氏は「アナハイム大で理事になった覚えはない。私が関係するのはランバート大だ」という。

 実はこの2つの大学、名称や組織の変更が忙しい。

 HPによると、アナハイム大は1996年にニューポート・アジア・パシフィック大として設立され、03年にアナハイム大に名称変更した。中松氏が関係するランバート大は96年にハワイ州にやはり通信制のニューポート・アジア・パシフィック大ハワイとして設立、03年にランバート大になった。両大学は「07年にアナハイム大に統合された」(日本事務局)という。

 アナハイム大はカリフォルニア州の認可を受けているが、ランバート大はオレゴン州では非認定大学リストに載っている。

 米国の大学事情に詳しい文教大の浜地道雄講師は「米国の認定制度は州ごとに違う。カリフォルニア州やハワイ州の認定基準は甘く、同州で学位を取得しても他州で使えない場合がある」と説明する。

 中松氏は「数年前、ランバート大側から他の有名人リストを見せられ、技術面の副学長としての協力要請があった」と語る。ただ、副学長ながら大学関係者との面談は「年に2、3回」という。

 古川氏のケースも興味深い。大学名は酷似しているがまったく別のニューポート大学から哲学博士号を贈られているが、古川氏は夕刊フジ取材に「ニューポート大の関係者と東京・新橋のホテルで会った際、『著書を審査して博士号を贈る』といわれた」と語る。

 それぞれの世界で功成り名を遂げた3氏。これらの大学とのかかわり、学問への限りなき情熱の表れなのか。

ZAKZAK 2007/03/20

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007032025.html