記事登録
2007年03月20日(火) 21時36分

火災保険料取り過ぎ、8億円超 三井住友海上が調査結果朝日新聞

 損害保険会社が契約者から火災保険料を取り過ぎていた問題で、損保大手の三井住友海上火災保険は20日、取り過ぎていた件数が少なくとも8855件(約8億4000万円)にのぼる、と発表した。燃えにくい工法で建てられた住宅への保険料の計算誤りなどが大半を占めた。調査中の他の損保大手でも今後多くの取り過ぎが見つかりそうで、業界の顧客軽視の姿勢が改めて厳しく問われそうだ。

 一連の問題では、昨年12月に金融庁の要請を受けた損保各社が3月末をめどに社内調査を進めており、結果を公表したのは三井住友が初めて。

 三井住友によると、燃えにくい軽量コンクリートを使った木造家屋で保険料の計算を誤ったり、耐火ボードを使って火災に強くしてある「ツーバイフォー(2×4)」住宅に割引を適用していなかったりするなど、保険料を取り過ぎていた件数は計7738件だった。

 実際に支払う保険金を上回る保険金額を設定し、結果的に保険料を取り過ぎている「超過保険」はマンション居住者との間でもあり、1420件にのぼった。それぞれに重複しているケースもある。

 このうち約7800件分(約7億9000万円)は契約者への返還手続きに入っているという。

 調査は、同社の火災保険全約437万契約の申込書などから、保険料や割引を誤った可能性がわかった契約などを抽出して実施。来年3月までに全契約を調べ直す方針で、全体の件数はさらに増えそうだ。

 契約している火災保険の保険証券に記載されている保険の内容や保険金額、割引の有無などと、実際の建物の構造などとの違いを確認すれば、契約者でも保険料の過払いをチェックできる。三井住友も契約の更新時に確認を進める方針だ。契約者が割引の適用を受けるには、物件ごとに、建物の構造などを示す書類などをそろえておく必要がある。

 一方、同社は20日、2月に金融庁に報告した自動車保険などの保険金不払いの最終調査結果について、計5万1486件(約54億円)にのぼり、昨年9月時点よりも4770件増えたと明らかにした。これについても損保各社は3月末〜6月末をめどに調査を進めており、業界全体では9月時点の計約32万件(188億円)よりも大きく膨らむことになりそうだ。

 20日記者会見した三井住友の江頭敏明社長は、取り過ぎの原因を「代理店への教育不足や、商品と割引制度の複雑化があった」と説明。今後、説明が十分できない代理店の整理統合に加え、商品改定にも取り組む考えを示した。

http://www.asahi.com/national/update/0320/TKY200703200458.html