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2007年03月20日(火) 21時26分

トラブル共有の仕組みなく 制御棒脱落、東電2原発でも朝日新聞

 国内の沸騰水型原子力発電所で核分裂を調整する制御棒が相次いで脱落していた問題で、東京電力の二つの原子炉でも、制御棒が各2本ずつ抜け落ちるトラブルのあったことが20日、わかった。脱落は部分的で臨界事故には至らなかった。いずれも国に対する報告義務はなく、これまで公表されてこなかった。

 東電の発表によると、制御棒の脱落は、93年6月に福島第二原発3号機で、00年4月に柏崎刈羽原発1号機で起きた。

 他原発で明らかになった脱落と同じく、原子炉を止めての定期検査で、制御棒が動かないようにするため、駆動装置の弁の開閉作業をしていた。ところが手順を間違え、制御棒を下げる方向に水圧がかかった。

 制御棒が脱落した長さは福島、柏崎刈羽とも、可動範囲(3・6メートル)の半分以下で、臨界状態にはならなかった。柏崎刈羽では、原子炉上部にある二重のふたのうち、外側の一つが開いていた。

 福島第二では、当時の作業手順書に弁の操作法がどう書かれていたか、わかっていない。柏崎刈羽では手順書の記載は正しかったが、現場で運転員による弁の開閉の確認が不十分だった。

 東電には、発電所ごとのこうしたトラブル情報を社内全体で共有し、対策を行き渡らせる仕組みはなかった。共有する体制が整ったのは04年7月以降だという。

http://www.asahi.com/national/update/0320/TKY200703200456.html