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2007年03月20日(火) 06時55分

「清水から入札額聞いた」鹿島担当者が供述 地下鉄談合朝日新聞

 名古屋市の地下鉄工事談合事件で、06年2月の入札で、大手ゼネコン「鹿島」と「清水建設」が、談合隠しのために落札予定工区を入れ替えたとされる「再談合」の疑いについて、鹿島名古屋支店の業務担当者が、名古屋地検特捜部の調べに対し「入札前に清水建設の業務担当者から清水建設の入札額を聞かされていた」と供述していることがわかった。再談合の仕組みを明かす初めての供述で、入札での激しい競り合いが「演出」だった疑いが強まった。

 特捜部は、05年12月に大手ゼネコン各社が「談合決別」を申し合わせたにもかかわらず、鹿島、清水建設の業務担当者が、再談合で巧妙に競争を装いながら談合を続けた悪質なケースとみて、詰めの捜査を進めている模様だ。

 再談合の仕組みについて供述しているのは鹿島の同支店次長で、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕された浜島哲郎容疑者(57)。

 供述によると、浜島容疑者らは05年12月までに談合し、06年2月の市営地下鉄6号線(桜通線)延伸工事の4工区の入札で、鹿島を代表とする共同企業体(JV)が「徳重1」、清水建設を代表とするJVが「徳重2」を落札することなどを取り決めていた。

 しかし入札前に各工区の落札JVを名指しする談合情報が流れたことから、浜島容疑者と、清水建設名古屋支店元営業部長の河島嘉(みよし)容疑者(61)=同容疑で逮捕=が、落札予定工区の入れ替えについて密談。その際、河島容疑者から浜島容疑者に、清水建設の入札額が伝えられたという。

 浜島容疑者からの情報をもとに鹿島は、工区入れ替えで落札することになった「徳重2」の入札で、清水建設より3500万円低い59億6000万円で応札して落札。鹿島と清水建設の入札額の予定価格に対する割合の差は、0.5ポイントで「激戦」が演出されたという。

 これに対し、清水建設の業務担当者は「2工区とも落札するつもりで入札した」などと、落札予定工区の入れ替えを否認している。

http://www.asahi.com/national/update/0320/NGY200703190021.html