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2007年03月19日(月) 03時01分

万波医師らの病気腎移植カルテ、宇和島病院が大量廃棄読売新聞

 愛媛県の市立宇和島病院で万波誠医師(66)らが行った病気腎移植について、同病院が治療の終わっていない患者のカルテを大量に廃棄していたことが18日、明らかになった。

 調査委員会は「医療記録が失われてしまったことが、調査を大きく妨害した」と問題視。愛媛社会保険事務局は、戒告などの処分を検討している。

 医師法はカルテについて診療の終了から5年間の保存を義務付けている。

 しかし同病院は、入院と外来のカルテを別々に作成。退院して5年たった患者の入院カルテは、通院が続いても廃棄しており、年度末にまとめて焼却場に運ぶか、外部の業者に廃棄を委託していた。この結果、病気腎の摘出20件のうち14件分、移植25件のうち19件分が廃棄されていた。

 病気腎移植の発覚後、病院側は「カルテがなく、詳しい説明のしようがない。法律上の保存年限は5年。問題はないはずだ」と繰り返した。市川幹郎院長は「カルテを要約した『退院時サマリー』を作っていた。大量の書類は置き場所に困るし、分厚いカルテを読み返すのは手間」と弁明した。

 だが厚生労働省によると、5年の起算日は、病気が治ったと医師が判断するか、死亡、転院した時点。患者の治療には、当初からの経過がわかることが肝心で、退院しても、通院を続けている患者のカルテは当然、必要という。社会保険事務局は「規則の理解が不十分で、明らかなルール違反」と病院に指摘した。病院の医療事務担当者は読売新聞の取材に「法令を知らなかった」と打ち明けた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070319i301.htm