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2007年03月19日(月) 10時00分

やっぱりあった!? 日興 上場維持政界工作日刊ゲンダイ

 15日、参院の財政金融委員会に参考人として呼ばれた東証の西室泰三社長は、日興コーディアルを上場廃止しなかった理由について、「(政治家、省庁からの圧力、誘導は)一切なかった」と答えた。
 しかし、これを真に受ける関係者は少ない。
「そりゃそうですよ。上場維持か廃止かは(1)不正が組織的で悪質か(2)利益水増しの額が多いか、で決まる。(1)については日興の調査委員会が『組織ぐるみ』という報告書を作っているし、日興自身が旧役員3人に損害賠償を求めている。(2)については、上場廃止になったライブドアの3倍以上の不正が行われていたんです。東証の判断は最終的に執行役員会で決まったが、こんなナーバスな問題なのに9人が全会一致で上場維持を支持したのも不思議です。事務方が上場維持を結論付けていたからで、彼らは政治家や金融庁の意向を気にする。何もプレッシャーがなかったなんてあり得ませんよ」(外資系証券会社幹部)
 実際、山本金融相は不正の全容が明らかになる前に2度も「幕引き」と受け取れる発言を繰り返したし、日興と安倍首相の関係もズブズブなのだ。
「日興のストラテジスト、藤田勉氏は『安倍晋三の経済政策を読む』という対談本を出して、『安倍内閣でメリットを受ける企業』をリストアップしていた。日興グループは首相就任後も安倍の秘書をパネリストとして呼ぶセミナーの計画を立てていました。こんなロコツなことができたのは、日興には安倍と太いパイプがあるからです。とくに常務の鈴木則義氏は安倍と成蹊の同窓で、食い込んでいる。不正決算で引責辞任した有村純一前社長は安倍と同じ山口県出身で、『家族ぐるみの付き合い』と週刊誌に書かれた。2人を取り持ったのは鈴木常務といわれています」(事情通)
 今回の不正が表に出たのは、ジャーナリストの町田徹氏が一昨年12月に月刊現代で書いたリポートがキッカケだ。その後、日興はゆっくり政界工作をする時間があった。この間、金融庁や証券取引等監視委がなぜ、踏み込まなかったのか。謎だらけだ。
「日興は政、官、捜査当局に、さまざまな働きかけを繰り返していたと聞いています」(町田徹氏)
 シティが受け皿になることで、「日米をまたぐ疑惑だ」という声もある。市場関係者の疑心暗鬼が広がっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070319-00000009-gen-ent