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2007年03月19日(月) 13時09分

北朝鮮資金、全額返還へ 米朝が凍結解除に合意朝日新聞

 6者協議の米首席代表のヒル国務次官補は19日、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結されていた北朝鮮関連口座の資金約2500万ドルについて「できるだけ早く全額を返還することで北朝鮮と合意した」と述べた。北朝鮮の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官は、解除が部分的になれば核放棄に向けた措置も限定的になると主張していたが、19日の6者協議本会議の開幕直前に、米朝間の最大の懸案が解消された形だ。

19日午前、6者協議開幕を前に、北京市内のホテルで記者の質問に答えるヒル米国務次官補(右)とグレーザー財務次官補代理=代表撮影

 ただ、北朝鮮メディアは米韓軍事演習を「米国による敵視政策」として中止を要求しており、核放棄に向けた措置が順調に進むかどうかは予断を許さない。

 ヒル氏は19日朝、グレーザー米財務次官補代理とともに合意内容を発表した。グレーザー氏によると、凍結資金は全額、北京の中国銀行にある朝鮮貿易銀行の口座に移されるが、もともとの口座保有者に返還されるのではなく、北朝鮮政府が人道、教育など国民の生活改善のために使うことで合意した。この方式は北朝鮮側からの提案で、BDAを「資金洗浄の疑いが強い」金融機関と確定した14日の米財務省決定に変化はないという。

 北朝鮮が生活改善に資金を使うとしていることについてグレーザー氏は「その保証はない」と述べ、資産の処分自体は「マカオ当局の決定だ」と語った。ヒル氏は、中国銀行の口座には中国が一定の監督責任を負うことを示唆した。

 BDAで凍結されているのは北朝鮮の貿易会社や銀行、北朝鮮と取引のあるマカオの貿易会社、個人などの約50口座。

http://www.asahi.com/international/update/0319/005.html