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2007年03月19日(月) 00時00分

上祐派脱会、混迷深めるオウム 新代表問題さらに分裂も 東京新聞

 オウム真理教(アーレフに改称)は、上祐史浩前代表派脱会の余波を受け、新代表選任をめぐり教団内部の混乱が続いている。十二人が死亡し五千人以上が重軽症を負った地下鉄サリン事件から二十日で十二年。被害者への賠償問題も進展しないまま、元代表麻原彰晃死刑囚(52)=本名・松本智津夫=の今後の位置づけや、麻原家と教団との関係についての反上祐派と中間派との見解のずれなどが、混乱の背景にあるとみられる。公安当局は「対立が深まりさらに分裂する可能性もある」として、警戒している。

 「新代表とは認めない」−。教団関係者らによると、埼玉県八潮市の教団施設で今月十二日、約七時間にわたり激論が交わされた。

 教団では先月十日、上祐前代表(今月八日に正式に脱会表明)を含めた役員会が開かれ、「正悟師」五人の一人で、中間派の野田成人最高幹部を代表とし、村岡達子正悟師を副代表とすることを決議。だが一部がこれに反発。別の代表の選出をほのめかしたという。

 教団は当時、いわゆる上祐派のほか、教団の経理を握る荒木浩広報部長を中心とする反上祐派、さらに野田氏らの中間派に分かれていた。野田氏の代表就任に異議を唱えたのは反上祐派だった。

 関係者らによれば、教団が混乱する背景には、麻原死刑囚の妻や、女性四人、男性二人の子供の存在が大きいという。

 反上祐派は、麻原死刑囚の妻が描いた、道場などに飾る油絵の著作権料として、麻原家に月約四十万円を支払っている。

 同派は「この契約が切れる今年末までに契約の見直しを考えていく。麻原家側とはこれ以外の関係はない」と主張するが、同派は麻原死刑囚のビデオを見て、説法を聞くなど“麻原回帰”を強めているとされる。

 これに対し、野田氏は「上祐派のように麻原元代表からすぐに決別するのではなく、『元代表は絶対ではない』という思想で信者全体を指導していきたい。今後、社会に対し(教団と)麻原家との関係をはっきりさせる必要もある」と話す。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070319/eve_____sya_____004.shtml