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2007年03月19日(月) 00時00分

サッポロ買収ハゲタカ焦り…スティールが協議申し入れZAKZAK

“ホワイトナイト”出現皮算用の気配強まり

 スティールはこれまで、サッポロが昨年2月に導入した買収防衛策の廃止を要求してきた。サッポロ側も現防衛策が取締役会だけの決議に基づくとして、29日の株主総会に一部手直しした新防衛策を提案、了承を求める方針。防衛策は新旧とも、20%以上の株式を取得する買収が“不当”だと判断された場合、新株予約権の発行で対抗する仕組みだ。

 当然、スティール側は新案にも反対の立場で、9日に請求した株主名簿をもとに委任状の獲得に乗り出した。また、15日には、世界最大の議決権行使アドバイザー「ISS」が機関投資家に対して、防衛策反対のリポートを送付していたことも明らかになった。

 「たしかにISSは反対表明しましたが、サッポロの防衛策が過剰というわけではなく、実は、ISSはほとんどの日本企業の防衛策に反対表明しています」(関係者)

 一方のサッポロ側も、委任状こそ預からないが、株主に文書を送付して、親密取引先や金融機関などを中心に賛成投票を訴える。

 現時点で票読みは「微妙」(関係者)というが、仮に新防衛策が承認された場合、スティール側は手詰まり感が強まる。まず、防衛策を向こうに回して買い増しやTOB(株式公開買い付け)を強行しても、法廷闘争で「時間の浪費」は必至。

 しかも、明星食品へのTOBで日清食品を誘い出したようには、“ホワイトナイト”が現れなかった。アサヒ、キリンの国内組はシェア寡占という独禁法上の懸念がある。外国ビール会社も免許事業である国内酒販流通の複雑さから敬遠しているとみられる。

 スティール自身への柔らかな包囲網もできつつある。買収防衛策の指針をまとめてきた経産省では、甘利大臣や北畑次官が「スティールはグリーンメーラー的だ」と牽制球を投じたが、他の株主からも、西裕介代表が「過半数を取ったからといって経営をする義務はない」「経営プランや業界経験がないのは当然」などと発言したことに反発がある。

 そんな中で、スティールが言い出したサッポロへの協議申し入れ。

 関係者は「スティールの米国での事例を見ると、株主還元を要求して株価が上がったところで売り抜けをした事例がある。サッポロとの協議では、増配などを求めてくるのではないか」と話す。

 サッポロ側は、申し入れがあれば会談には応じる構えだが、株主総会を前に急転直下の展開があるのか、目が離せなくなってきた。

 

ZAKZAK 2007/03/19

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007031934.html