脅迫で逮捕・起訴されたのは、東大大学院総合文化研究科1年の被告(24)。起訴状や関係者の話によると、被告は昨年6月初旬、ネットの結婚情報サイトを通じて妻と知り合い、翌月にスピード結婚。だが、被告が不能だったことに加え、「ウイルスを移された」と妄想を抱き、妻に暴力を振るった。
妻は入籍から2週間後には栃木県小山市の実家に逃げ帰ったが、妻や妻の父親に「しばくぞ」「殺しにいったるぞ」「おらハゲおやじ、頭かち割ったるぞ」といった脅迫電話を昼夜を問わずかけまくった。
10月27日夜には、妻の実家に赴き、玄関ドアのガラスを蹴破ったとして器物損壊容疑で県警小山署に逮捕された。脅迫容疑でも再逮捕された後、(1)2度と迷惑行為をしない(2)離婚届の不受理届を取り下げる(3)被害者側に接触しない−という条件と慰謝料180万円で示談が成立、起訴猶予処分となった。
だが、慰謝料は被告の母が立て替えて支払ったものの、不受理届の取り下げは無視。12月23日夜、再び携帯電話を手に取り、妻へ「最後に1個だけ言っといたるわ。あと1、2年のうち、皆、完全に壊滅させるから。そこから警察呼ぼうと裁判しようと後の祭りだから」とまたも脅迫メールを送り、3度目の逮捕となった。
メガネのカマキリ男のような風貌(ふうぼう)にタートルネックのセーターを着て証言台に立った被告は「調書を取られた段階では、それが脅迫にあたるとは思わなかった。法律のことはよく知らなかったので刑法に抵触するとも思わなかった」と、日本最難関の東大理科III類を卒業したとは思えない答え。
逮捕直後は妻の父親が悪いような主張をしていたが「拘置所でいろいろ考えて自分が悪いと思った。精神的な葛藤(かっとう)があって一線を踏み越えてしまった。被害者の方に申し訳がない」とボソボソとした口調で謝罪した。
公判では自転車ドロボーで捕まった前歴も暴露され、弁護士も「ちょっと自分勝手なところがあるんじゃないの」とあきれる始末。裁判長の「女性と付き合うのは初めてだったのか」という問いに、被告は一瞬、答えに窮した後、「それは、まあ…。調書に書いてあるとおりです」。核心を突いた質問が相当、こたえたのか、証言台から離れる際、わずかに首をかしげる素振りをみせた。
そんな被告に検察官は懲役1年2月を求刑、判決は22日に言い渡される。
ZAKZAK 2007/03/19