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2007年03月18日(日) 15時31分

手話でマルチに勧誘 聴覚障害者の相談急増、弁護団結成朝日新聞

 聴覚障害者に手話を使って「会員を紹介すれば現金を支払う」と誘い、パソコン関連商品を数十万円で買わせるマルチ商法への被害相談が全国で相次いでいることがわかった。国民生活センター(東京)によると、01年度は16件だった相談が06年度は391件。被害者の多くがパソコンを操作できない高齢者らで、大阪では弁護士約20人が対策弁護団(団長・尾川雅清弁護士)を結成し、悪質業者に対する法的措置を検討している。

 同弁護団によると、こうした商法を展開しているのは東京に拠点を置く複数の業者。聴覚障害者が同じ障害を持つ人に「別の会員を紹介すれば現金がもらえる」と手話で説明し、数十万円のCD—ROMなどを購入させているという。CD—ROMには入会時に得る権利などについて書かれた文章が記録されているだけで、同弁護団は「ほとんど無価値」と話す。

 国民生活センターと各地の消費生活センターへの相談は、01年度16件▽02年度24件▽03年度21件▽04年度24件——と横ばいだったが、05年度は55件に増え、06年度は今月13日までに391件に達している。

 警視庁などが2月に詐欺容疑で逮捕した福祉機器販売会社の社長らは、聴覚障害者に手話で架空の出資話を持ちかけ、約270人から総額27億円の出資金を詐取した疑いが持たれている。同弁護団は「同じ障害を持つ人から勧められたという安心感から契約してしまうのではないか」と分析している。

 事態を重視した大阪弁護士会(小寺一矢会長)も2月、聴覚障害者向けのマルチ商法相談専用ファクス(06・6364・4653)を設置。今月27日には、大阪市北区西天満1丁目の同弁護士会館で無料説明会を開く。問い合わせは同ファクスか同弁護士会委員会担当室(06・6364・1227)へ。

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