これまで被告らと弁護人の連絡方法は手紙・電報と面会に限られており、電話やファクスの導入を求める声は日弁連などに強かった。
09年導入の裁判員裁判で、参加する市民の拘束期間を少なくするために連日法廷が開かれれば、被告・弁護側の打ち合わせが従来の方法だけだと十分な防御ができないとして、法務省・警察庁が設置した有識者会議でも通信手段の拡大を求める提言が出た。
このため、法務省は改正刑事施設・受刑者処遇法の施行にあわせた導入を目指して、日弁連側と協議を進めてきた。
電話連絡制度を導入するのは、東京、横浜などの8拘置所・支所。裁判所から遠く、面接に行くのに時間がかかる施設の被告らと、その弁護人に限られる。今後の実施状況次第で拡大する。
弁護人側が被告らのいる拘置所・支所に対応する地検か法テラスから電話をかけ、連絡を受けた未決拘禁者が待機して受ける。日弁連は被告らからも電話をかけられる「双方向の連絡」や家族との電話を望んだが、折り合いがつかなかった。
弁護人への通話時間は1回につき15〜20分と限られた時間だが、法務省は「面会を補完するもの」と位置づけている。
ファクスは、被告らサイドから弁護人へ連絡する手段になる。弁護人と連絡を取る場合は、理由や用件を書いた用紙を弁護士会経由で送ると、弁護人側が面会時期などを記入して返信する。手紙よりも迅速に連絡を取り合えるようになる。
また、全国の拘置所などで、夜間の面会を導入する。従来は午後5時までだったが、午後8時までは弁護人と面会できるようになる。
日弁連は休日の接見時間帯の拡大や、被告らの家族や仕事関係者との電話でのやりとり、ファクスを手紙に代わる手段として幅広く利用することなども求めてきた。法務省矯正局は「適正な拡大に向けて努力しているが、刑事施設の過剰収容状態が続く中で、職員の対応には限界がある」としている。
日弁連刑事拘禁制度改革実現本部の小池振一郎弁護士は「満足できる内容ではないが、初めの一歩としては大きな成果。今後も外部交通の拡大を求めていきたい」としている。
日弁連は、警察署の留置場にいる容疑者などとの電話連絡を導入する方向で警察庁とも協議している。
http://www.asahi.com/national/update/0317/TKY200703170104.html