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2007年03月17日(土) 17時29分

ワクチン開発に、産官学が連携へ 厚労省が推進委設置朝日新聞

 新型インフルエンザ対策などで新たなワクチンの需要が世界的に高まる中、厚生労働省は、国内メーカーの研究開発や承認申請を後押しするための指針作りや、産官学の連携に乗り出す。海外で承認されている有効なワクチンが国内でも使用できるような環境づくりが狙いで、近く、専門家らによる推進委員会を立ち上げる。

 感染症を予防するワクチンは健康な人に使われるため、一般の薬より効果や安全性の評価が厳しい。接種率の高い乳幼児が少子化で減り市場拡大が期待できないことや、患者数が予測しづらいこともあり、国内メーカーは開発に二の足を踏みがち。国内のワクチン製造は中小メーカーが担っている事情もある。

 そこで厚労省は、メーカーと医療機関、研究者の代表らによる推進委をつくり、患者ニーズや人材育成などについて産官学で情報交換を深める。メーカーが国の研究施設を活用できるよう協議も進めるという。

 国内での承認審査に必要な症例数や、市販後調査での安全性評価などについての指針作りにも取り組み、承認例が少ないため考え方が確立していない現状の改善を目指したいとしている。

 国内でここ10年間で承認された新たなタイプのワクチンは、細菌性髄膜炎を予防する乳児向けのHibワクチンのみ。一方、米国では10品目ほどが承認されていて、鼻に噴霧して粘膜に抗体をつくるインフルエンザワクチンや、A型もB型も予防できる肝炎ワクチンなどは、日本でも早期承認が望まれている。

 ワクチンに詳しい神谷斉・国立病院機構三重病院名誉院長は「世界基準よりも厳しい日本のワクチン製造基準の改定や、研究者を育成できる企業体制の確立が必要。任意接種のワクチンの定期接種化を進めることも求められる」と話している。

http://www.asahi.com/life/update/0317/006.html