記事登録
2007年03月16日(金) 00時00分

定時制枠 県教育長が拡大要請朝日新聞

  公立高校定時制の志願者数が急増している問題で、県教育委員会の引地孝一教育長は15日、受け入れ拡大に配慮してほしいと県立定時制の各校長に依頼したことを明らかにした。定員枠を急きょ拡大する緊急措置をとったが、いぜんとして募集人員に対し志願者が260人も上回ったため、異例の措置をとった。16日に合格発表がある。

(佐藤善一)

  定時制の校長を集めた14日の席上で、引地教育長が依頼文を配り、「定時制を志願する生徒が定員を大幅に上回る事態になった。学ぶ意欲と能力のある生徒については受け入れ拡大に特段の配慮をしてほしい」と依頼した。入試の平均競争率は1・19倍だった。

  県教委は、同順位に合格適合者が複数いる場合、校長裁量で定員の5%増まで合格者を上乗せできるとしている。5%を超える場合でも教育長が承認すれば可能だった。今回の措置は、順位にかかわらず校長が必要と判断すれば合格を認めるとする措置で、学校によっては合格者を大幅に増やすことも可能になった。

  ただ、定時制の受け入れ増加については、現場の教員から「定時制で人数調整するのはおかしい。全日制に落ちて定時制に進む生徒も多いことを考えれば、全日制の定員を増やすべきだ」との批判も上がっている。

  県教委が昨年秋に実施した中3生徒を対象にした進路希望調査によると、定時制の進学希望者は1022人だった。しかし、実際の志願者は前期選抜を含めて延べ4千人以上に膨らんだ。

  今回の事態を受け、県教委は志願者急増の背景を探るため、月内にも校長や教委職員、私立学校関係者、有識者でつくる調査検討会議を立ち上げる方針を決めた。志願理由や私立学校の進学状況を総合的に分析し、次年度の定数を決める際の判断材料にしたいという。

  受け入れ拡大について引地教育長は「義務教育ではないので、志願者の全入学を目的にしているわけではない。あくまで意欲のある学生に、極力チャンスをあげたいという思いだ」と説明している。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000703160005