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2007年03月16日(金) 00時00分

ブッシュ政権、検事解雇に圧力疑惑朝日新聞

 米ブッシュ政権が、全米で93人いる連邦検事に政治的な圧力をかけたうえ8人を解雇した疑いが浮上し、ゴンザレス司法長官の首席補佐官が12日付で辞任する事態となった。民主党主導の議会からは、司法長官自身に対する辞任要求や、ブッシュ大統領の腹心、ローブ大統領次席補佐官に召喚状を出して証言させよとの意見まで出ている。政権にとって、頭痛のタネがまた増えた格好だ。

 問題の連邦検事らは、昨年12月に7人、1月になって1人が、はっきりした理由の説明がないまま解雇された。ゴンザレス長官は議会に対し、一連の解雇は通常の人事に過ぎず、職務上の評価が低い人物が対象になった、と説明していた。

 しかし、13日付ワシントン・ポスト紙は、司法省とホワイトハウスの間で交わされた電子メールの内容を報じた。それによると、ニューメキシコ州駐在の前検事は職務ぶりの評価は高かった。この前検事は、民主党にからむ不正投票事件の捜査で昨秋、共和党議員から「(中間選挙があった)11月までに結果を出せないのか」と電話で圧力をかけられたが突っぱねた、と証言している。

 1月に辞任したホワイトハウスのマイヤーズ前法律顧問が、すでに05年2月の段階で、連邦検事全員をいったん辞任させ、政権の方針を支持する者だけを再任しては、と提案したことも判明。政権ぐるみで捜査現場に政治介入した可能性が浮かび上がった。

 「テロとの戦い」を進める愛国法の規定によって、解雇された連邦検事の後任を選ぶ際は、議会承認を省略できる権限が政権側に与えられており、これを乱用した疑いも出ている。アーカンソー州では解雇された検事の後任に、ローブ補佐官の側近だった人物が選任されている。

 ゴンザレス長官は13日、記者会見で「過ちの責任は私にある」と認めたが、辞任する意向はないとした。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000703160002