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2007年03月16日(金) 21時02分

比高官に高級ゴルフセット、九電工社員らを略式起訴読売新聞

 電気設備工事大手・九電工(本社・福岡市)の子会社による不正利益供与事件で、福岡区検は16日、フィリピンの国家捜査局(NBI)幹部らに高級ゴルフセットを贈ったとして、同社現地子会社の当時の副社長(44)と社員(35)の2人を、不正競争防止法違反(外国公務員への利益供与)で福岡簡裁に略式起訴した。

 簡裁は元副社長に罰金50万円、社員に20万円の略式命令を出し、2人は即日納付した。

 同法の外国公務員への利益供与禁止規定での立件は全国初。背景には「開発援助事業の受注を巡る贈賄合戦が被援助国の発展を妨げている」という国際世論の高まりを受け、公正な国際取引の維持へ向けた日本側の取り組みを国内外にアピールする狙いがあるとみられる。

 捜査を指揮した福岡地検によると、元副社長らは2004年4月10日、当時のNBI長官ら幹部2人が来日した際、NBIが導入を計画していた自動指紋照合システム事業の請負契約を早期に結ぶため、ゴルフクラブセット2組(計約80万円)を渡した。現地子会社が長官らを招待し、九電工が旅費や接待費など数百万円を負担。飲食接待には別の九電工社員が同席した。

 同地検は、接待は営業活動として認められるが、ゴルフセットの贈与は社会通念上、度を超えていたと判断。現地子会社が不正工作を主導したとして、九電工の責任は問わなかった。

 九電工は九州電力のグループ最大企業。02年6月、マニラに現地子会社を設立し、元副社長らは九電工から出向した。犯行当時、NBIによる技術審査などが行われていた。九電工側は約140億円の売り上げを見込んでいたが、05年12月にNBI長官の死亡し、計画が頓挫。06年9月に子会社を撤退させ、9億円以上の損失を出した。

 九電工は「同法についての認識不足もあり、法令違反となった。社員が罰金処分を受けたことは極めて遺憾で、厳粛に受け止める」とのコメントを発表した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070316i311.htm