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2007年03月16日(金) 00時00分

堀江被告に実刑 東京地裁 粉飾関与を認定 判決公判のため東京地裁に入る堀江貴文被告=16日午前9時27分、東京都千代田区で(今泉慶太撮影) 東京新聞

 ライブドア(LD)事件で、証券取引法違反(粉飾決算など)の罪に問われた同社前社長堀江貴文被告(34)に対する判決公判が十六日、東京地裁で開かれた。小坂敏幸裁判長は「一般投資家を欺き、その犠牲に立って企業利益のみを追求した極めて悪質な犯罪。結果は重大だが、ほとんどの犯行を主導したとは認められない」と述べ、堀江被告に懲役二年六月(求刑懲役四年)の実刑を言い渡した。堀江被告は判決を不服として同日、控訴した。 

 争点となった元財務担当取締役宮内亮治被告(39)ら元幹部の供述について、小坂裁判長は「メールによって裏付けられている元代表取締役熊谷史人被告(29)の供述は信用性が高く、宮内被告らの供述は熊谷供述と符合している」と元幹部らの供述の信用性を認め、すべての事件で堀江被告の関与を認定した。

 その上で、粉飾決算の舞台となった投資ファンドについて「法の抜け穴を突く目的で作られたファンドで、企業会計が十分整備されていない分野を悪用した。新株を発行して得た資金を利益が発生しているように偽り、売り上げに計上した」と指摘。ファンドはLDのダミーではないとする弁護側の主張を退けた。

 約十六億円の架空売り上げ計上についても「宮内被告の提案を受けて、堀江被告が了承した」と共謀を認定。旧ライブドアマーケティングの企業買収に絡んで虚偽情報を開示した事件についても「一億円の企業価値を四億円になるよう操作した」とした。

 その上で「過去の事例と比べて粉飾額は高額ではないが、企業価値を過大に見せかけて株価を高騰させ、時価総額を急激に拡大させた。投資者の判断を誤らせた責任は重く、実刑が相当」と厳しく述べた。

 量刑については「事件は経営陣が直接主導した組織的犯行。堀江被告は保有するLD株の売却で多額の現金を得るなど、犯行の利益を享受した。株主らに対する反省もない」としながら、「大半の犯行は宮内被告が中心に計画、実行したもので、堀江被告は了承したにとどまる。一定の社会的制裁も受けた」と情状酌量の理由を述べた。

 判決によると、堀江被告は二〇〇四年九月期の連結決算で、自社株売却益約三十七億円を不正に売り上げに計上するなどの方法で、実際は約三億円の赤字だったにもかかわらず、約五十億円の黒字に粉飾した有価証券報告書を提出するなどした。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070316/eve_____sya_____000.shtml