記事登録
2007年03月16日(金) 20時19分

「工場倒産で賃金未払い」茨城のベトナム人実習生6人朝日新聞

 外国人研修・実習生制度で来日し、茨城県大子町の縫製工場で低賃金で働いていたベトナム人女性6人が、工場が倒産して「貯金」名目で天引きされた賃金が払われないまま帰国を迫られていることが、16日わかった。水戸労働基準監督署は申告を受け、労働基準法違反の疑いで経営者らを調査している。

会見で賃金不払いを訴えるベトナム人女性ら=水戸市の県庁で

 研修・実習生はレー・ゴック・タオさん(24)ら24〜25歳の6人で、同日、支援する全労連・外国人労働者問題連絡会(東京都豊島区)と、茨城県庁で記者会見を開いた。

 6人は04年4月に来日し、ジャケットやブラウスのミシン縫いやボタン付けをしていた。1年目は研修生、2年目から実習生として働いたが、今年1月末、経営者から、倒産したので3月中に帰国するよう通告された。昨年中に来日した別の研修・実習生7人は10日、帰国させられ、6人も17日に帰国するよう迫られている。

 月給は6万5000円で、同連絡会の試算では時給312円だった。工場の一角で寝泊まりし、残業禁止の研修生でも午前3時、4時まで働くこともあった。貯金として月3万円が天引きされ、不払い賃金は帰国した7人と合わせ、約460万円に上る。パスポートも没収され、町内を出たことは一度もなかった。

 6人は会見で「日本はすばらしい国と、夢を持ってきた。今後は技術を磨けるよりよい環境にして欲しい」と話した。

 労基署の調べに対し、経営者らは債務の存在を認め、返済を約束したという。だが、実際に履行されるか6人は不安視。同連絡会は「社長が強制貯金を引き出して使うなど法違反を繰り返しており、約束は信用できない。横領罪での告訴も検討中」としている。

http://www.asahi.com/national/update/0316/TKY200703160424.html