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2007年03月16日(金) 21時55分

設計データ大量ダウンロード デンソー中国籍技術者逮捕朝日新聞

 大手自動車部品メーカー「デンソー」(本社・愛知県刈谷市)の中国籍の技術者が、約13万件にのぼる部品の設計図面データをダウンロードしたパソコンを持ち出したとして、愛知県警は16日、同市神明町6丁目、同社社員、楊魯川容疑者(41)を横領容疑で逮捕した。データの中には、同社の最高機密とされる最先端技術に関するものも含まれているという。

 楊容疑者は、中国国営の軍事関連企業で勤務した経験があるとされるほか、在日中国人の自動車技術者団体の幹部を務めているという。県警は、データ入手が産業目的か軍事目的か、背後関係を含め、解明を進める。

 外事課と刈谷署の調べでは、楊容疑者は社所有のパソコンに、社内のシステムから部品の設計の電子データ約13万件をダウンロード。2月5日ごろ、このパソコンを無断で自宅などに持ち出し、フラッシュメモリーと携帯型ハードディスクにデータをコピーするなどの目的に使用し、社有パソコンを横領した疑い。

 楊容疑者は社有パソコンを持ち帰ったことは認めているが、データのダウンロードやコピーについては否定しているという。私有パソコンはハードディスクが破壊されており、県警は、楊容疑者が証拠隠滅を図ったとみている。

 データは、産業用ロボットや各種のセンサー、ディーゼル燃料の噴射装置など1668種類の製品のもので、このうち約280種類は同社の最高機密にあたるという。データの取得は06年10月に約1万件、11月に約12万件、12月に約4000件と集中していた。

 県警によると、楊容疑者は、ミサイルやロケットを開発・製造する中国国営の旧「中国航天工業総公司」に勤務していた。その後、90年に来日し、日本の工学系大学を卒業した後、民間企業に勤務。01年12月、デンソーに入社し、センサー類などの設計などを担当していた。

 同社が2月中旬にシステムの点検をした際、データの大量取得が判明した。楊容疑者は社内調査に、データの持ち出しを否定したうえ、急きょ中国に帰国し、3月4日に再入国したという。

 楊容疑者は、在日中国人の自動車技術者が集まり、05年10月に設立された「在日華人汽車工程師協会」の副会長も務めている。

http://www.asahi.com/national/update/0316/TKY200703160253.html