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2007年03月15日(木) 19時35分

マクロヴィジョン戦略説明日本におけるネットワーク家電の普及を支援impress Watch

 マクロヴィジョン ジャパン アン アジア(以下、マクロヴィジョン)は15日、日本でのビジネス戦略に関する説明会を行なった。米Macrovisionは2007年1月に米Mediabolicを買収しており、今後、日本のホームネットワーク家電分野に本格進出するという。

 マクロヴィジョンのデビッド・ローリー代表取締役は冒頭、米Appleのスティーブ・ジョブズCEOが、デジタル著作権管理(DRM)の廃止を提言したことについて触れ、「ジョブズ氏はDRMを非難しているが、Apple社自体はDRMに依存している」とした。

 ジョブズCEOの考えに対しては、米Macrovisionのアルフレッド・アモロッソCEOが、DRMの重要性やDRMによるコンシューマ向けのビジネスモデルについて発表しているという。「マクロヴィジョンは、DRMに対して中立な立場をとっており、どのDRMにも対応していく姿勢。ただし、DRMは相互に運用可能でなければいけないと考えており、Appleのフェアプレイに問題を感じている。Windows Media DRMに関しても、相互運用の面で問題を感じている。相互運用はユーザーが望むことでもある」(ローリー代表)。

 また、DRMが注目されている理由についてローリー代表は、ホームネットワーク分野におけるシェア争いが起こり始めているためと説明した。「ホームネットワーク分野は日本の家電メーカーが支配する可能性も高い。マクロヴィジョンは、そのような分野を支援していきたい」と話す。また、「米ViacomがGoogleとYouTubeに対して10億ドルの損害賠償訴訟を起こしたように、DRMはコンシューマだけでなくビジネスでも重要になってくる」と語った。

 ローリー代表は、マクロヴィジョンの使命について、「コンテンツを物理的な媒体からオンライン媒体へ移行する際に、権利保有者を保護しつつ、コンシューマに幅広い選択肢や柔軟性を提供すること」と説明した。また今後は、「日本の家電メーカーがホームネットワーク分野で展開していくときに、さまざまな形での支援をする」と述べた。そのような戦略に適した買収先として、既に日本での実績を持っていた米Mediabolicを選んだという。

● 家電メーカー向けのソリューションを展開

 マクロヴィジョンのホームネットワーク関連事業については、同社の出口雄一郎ビジネスデベロップメントシニアディレクターが説明した。出口氏は、米Mediabolicのマネージメントチームに所属していた。

 出口氏は、「デジタル家電の相互接続を実現する規格『Digital Living Network Alliance(DLNA)』が登場したことで、大手家電メーカーが既存商品カテゴリー(テレビ、DVDレコーダー、デジタルカメラなど)にネットワーク技術を導入し始めた」と市場動向を説明。それに対しマクロヴジョンでは、「ソース・コードSDK」「プロダクト・ソリューション」「ファームウェア・アップデート・サービス」といったソリューソンを家電メーカーへ提供する。

 ソース・コードSDKは、ネットワーク家電用のミドルウェアやアプリケーションのソースコード、および開発ツールなどを提供するもの。ソースコードはOS、ハードウェアに依存しない設計になっており、あらゆる機器への移植性が高く、カスタマイズなども容易に可能という。

 プロダクト・ソリューションは、マクロヴィジョンのソフトと半導体メーカーのチップに加え、インテグレーター、ODMをセットにして家電メーカーに提供するもの。これにより、DLNA対応のテレビやオーディオ、STB、ホームサーバーなどを容易に開発できるという。

 ファームウェア・アップデート・サービスは、ネットワーク家電のファームウェアをインターネット経由でアップデートできるもの。途中で回線が切れても、続きからアップデートを開始できる「フェイル・セーフ」やDRMキーの管理などが可能という。

 マクロヴジョンは今後、日本の家電メーカーに対し、営業およびプロジェクトマネージメントを展開。技術者のサポートなども充実させ、日本でのビジネス拡大を目指す。

関連情報

■URL

  マクロヴィジョン

  http://www.macrovision.com/jp/

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・ 米Macrovision、DeCSSによるリッピングを防ぐ「RipGuard DVD」発表(2005/02/16)

( 野津 誠 )

2007/03/15 17:11

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070315-00000021-imp-sci