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2007年03月14日(水) 00時12分

知事、県議選で応援しない宣言朝日新聞

 福田富一知事は13日の定例会見で、統一地方選の告示後は特定候補への応援はしない考えを明らかにした。知事は年明けから開かれている県議らの新年会や総決起集会には積極的に出席しているが、告示後に公務をこなしつつ各候補を平等に応援するのは難しい。前回衆院選のように自民・公明候補だけを応援して、事実上のオール与党体制の県議会に波風を立てるのは得策でない、との判断も働いたとみられる。

 会見で福田知事は、県議選も含め統一地方選での候補者応援の考えを問われ、「運動期間中に特定候補を応援する予定は一切ない」「告示後の応援は考えていない」と繰り返した。
 知事が選挙応援に来れば、聴衆も集まる。現職ならば、有権者には伝わりにくい自分の実績をアピールしてくれる。福田知事の応援は、各候補とも、のどから手が出るほどほしいはず。福田知事の後援会事務所によると、知事は年明けから、自民党や公明党県議らの後援会新年会や総決起集会に数多く出席。いずれも出席依頼を受けたものだという。

 定数50の県議選には現在、63人が立候補を準備しているが、うち自民党公認・推薦の現職だけで33人いる。3月30日の告示から4月8日の投票まではわずか1週間余り。その間、通常通りの公務をこなしながら応援するとなれば、「物理的に全員の応援は難しい」(県幹部)。
 自民党県連の梶克之幹事長は「知事はああいう性格だから、頼まれたところ全部に行こうとするだろうが、何しろ候補者が多いから回りきれないと、不公平感が募ってぎくしゃくしてしまう」と述べ、今回の方針は「すっきりしていいんじゃないか」と評価する。

 現在の県議会の構成は、自民、公明、公友クラブのほか、民主系の県民ネット、前回知事選で福田昭夫前知事を応援した議員でつくる新生クラブの5会派。支持の濃淡はあるが、いずれも予算案に賛成し、知事に対して与党的立場を取る。
 05年の衆院選で福田知事は、選挙応援を自らの知事選で受けた応援の「恩返し」と位置づけ、会見で「自民党、公明党中心に応援する」と明言。公示後は自民、公明候補の応援演説を積極的にこなした。だが、選挙後、民主系の県議から「知事は偏りすぎだ」などと不満が噴出。関係がぎくしゃくした。

 今回、民主党県連は県議選に公認・推薦合わせて10人の候補者を擁立する方針。現職県議は知事が前向きなLRT構想に批判的で、選挙が近づくにつれて距離を置きつつある。
 知事が県議選でも自民、公明候補ばかりを応援して民主との関係が冷え込めば、現在のオール与党体制にひびが入り、県政運営に影響が出かねない。知事としては議会の対立が深まり、次の知事選にしこりを残すことは避けたいはず。応援見送りには、こうした判断も影響した可能性がある。

 議員選をめぐる知事の対応としては、石原慎太郎・東京都知事が01年の都議選で告示日をはさんで南米・ガラパゴス諸島に視察に出かけ、応援を一切しなかったことが知られる。だが、05年の都議選では一転して自民候補に絞って応援、民主批判を繰り広げた。それも影響したのか、22日告示の都知事選では、3選を目指す石原氏に対し、民主は独自候補擁立にこだわり、最終的には浅野史郎・前宮城県知事の支援を決めている。

http://mytown.asahi.com/tochigi/news.php?k_id=09000000703130005