記事登録
2007年03月14日(水) 00時00分

厚木市立病院 お産受け付け中止朝日新聞

  厚木市水引1丁目の厚木市立病院(岡部武史院長)が、7月以降のお産の予約を受けつけていないことがわかった。産科医を派遣している東京慈恵会医科大学(東京都港区)が、医師の引き揚げを病院に申し出ているためだ。産科医不足から、大学の医局が派遣医を引き揚げる事態が各地で広がっているが、県内では昨年3月に、横浜市立大学が松田町の県立足柄上病院から派遣医を引き揚げ、病院がお産の受け入れ一時休止に追い込まれた例がある。

(須田世紀)

  厚木市立病院によると、7月以降に出産予定の妊婦に対し、2月上旬からお産の予約の受けつけをやめた。すでに病院にかかった妊婦には、ほかの病院への転院を勧めている。

  病院の産婦人科には、非常勤も含めて8人の医師がいるが、全員が慈恵医大を介しての採用。

  市立病院事業局の担当者によると、2月1日に慈恵医大の教授から、医師不足を理由に市立病院から医師を引き揚げたいとの話が市側にあった。病院側は当初、引き揚げの時期を今年8月としていたため、7月からの予約受けつけの取りやめを決めたという。

  小林常良市長は今月12日に慈恵医大を訪ね、協力態勢を維持してもらうよう要請した。これに対し、病院側は「できるだけ協力する」と回答するにとどまり、医師を引き続き病院に派遣したままにするかどうかについては明らかにしなかったという。

  市によると、厚木市内には市立病院のほか、診療所を含めてお産ができる医療機関は3カ所ある。市立病院では通常、年間に約600件のお産をしているという。

  病院では現在、妊娠の初期検診はしている。県央地域では拠点の病院であることから、県の周産期救急医療システムで、救急時に軽症の患者を受け入れる「協力病院」に位置づけられており、緊急時の対応はいまもしている。

  市は大学側に引き続き、協力を求めていくという。市立病院事業局は、仮に交渉がまとまらなかった場合でも「外部の医師の雇用も視野に入れ、現体制は維持したい」と話しているが、公立病院の場合、産科医の確保には困難が予想されるため、通常時のお産態勢に戻れるかどうかは現時点で不明だ。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000703140003