判決後の会見で涙をぬぐう中原のり子さん(左)=14日午後、東京・霞が関で
過労死弁護団全国連絡会議によると、小児科医の過労死はこれまで2件が労基署段階で認められたが、自殺した医師の認定例はなかった。医師の自殺を労災と認めた判決としても、全国で2例目という。原告側代理人の川人博弁護士は「判決は小児科医の深刻な労働条件に警告を発した。政府や病院関係者は事態を改善すべきだ」と話している。
佐村裁判長は、小児科の当直では睡眠が深くなる深夜に子どもを診察することが多く、十分な睡眠は困難だと指摘。「社会通念に照らし、心身に対する負荷となる危険性のある業務と評価せざるを得ない」と述べた。
判決によると、中原医師が勤めていた立正佼成会付属佼成病院(東京都中野区)の小児科では、医師の転職や育児による退職が相次いだ。中原医師が部長代行に就いた99年2月以降は少ない時で常勤医3人、非常勤1人にまで落ち込んだ。同年3月の勤務状況は、当直8回、休日出勤6回、24時間以上の連続勤務が7回。休みは2日だけだった。
新宿労基署は、うつ病を発症した同年6月までの半年間の時間外労働は月平均約50時間で、「当直中は仮眠や休養も可能」であり、実際に働いた時間はさらに下回るとして、発症の原因は中原さん個人の「脆弱(ぜいじゃく)性」だと主張していた。
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