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2007年03月14日(水) 00時00分

「なのはな鉄道」天ぷら油でGO朝日新聞

第三セクター・いすみ鉄道(本社・大多喜町、社長・田嶋隆威町長)は18日、燃料の軽油に使用済み天ぷら油(廃食油)を混ぜた車両を運行する。同鉄道は大原(いすみ市)—上総中野(大多喜町)駅間を結ぶ26・8キロの単線。沿線13キロに菜の花を植え、「なのはな列車」とも呼ばれて観光客にも人気だ。だが、開業以来の赤字で存続が危ぶまれており、環境に優しい鉄道をアピールして、利用者増につなげたい考えだ。

 同鉄道では05年12月、試験的に廃食油を5%混ぜてみたところ、加速は劣ったが運行には支障はないことがわかった。1車両の定員103人。試運転では代わりに3トンの水を積んだ。06年3月には、乗客を乗せて初走行。「天ぷら油で走るなんてすごい」と好評だった。

 1リットルあたり2・5キロほど走る軽油と燃費はほぼ同じだが、寒さに弱く、粘度が高くなって固まりやすくなる。このため、これ以上の混入は難しいという。今のところ町が業者から1リットル85円で購入、同鉄道に提供している。

 同鉄道は、00年ごろから社員やボランティアの協力で沿線に菜の花の種をまき、観光客誘致に取り組んできた。

 また、大多喜町も菜の花を生かした町づくりに取り組んできた。昨年2月には、「フラワーバイオマスタウン おおたき」を掲げ、回収した廃食油を町で精製したり、休耕田に菜の花を栽培して菜種油を学校給食で使用するなどの構想をまとめている。07年度中の実施を目指す。年間回収量は3千リットルで現在、茂原市内の業者が200リットルあたり千円で買い取っている。

 町では今後、町内の福祉施設などからも使用済みの天ぷら油を回収、いすみ鉄道の年間使用軽油12万リットルのうち6千リットルに活用する方針。ゴミ収集車などディーゼルトラック3台にも使う。

 18日の廃食油をつかった列車運行は、「なのはなエコフェアーin大多喜」にあわせて行われる。同フェアーでは、廃食油を燃料に混ぜた農機具の試乗も行う。

 同鉄道で廃食油を入れるのは、六つある車両のうち1車両。車内外に表示する。午前6時台から午後3時台まで上下8本を運行する。問い合わせは同鉄道(電話0470・82・2161)へ。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000703140001