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2007年03月13日(火) 01時54分

朝青龍、百戦錬磨の自負裏側に新たな試練読売新聞

 大相撲春場所2日目(12日・大阪府立体育館)—─負けた後の花道で、こんなにも打ちひしがれている朝青龍を初めて見た。フーフーと息を吐きつつ、うつむき加減。顔色は青ざめ、足取りもトボトボ。怒気を帯び、支度部屋で叫んだりするのが、強気で鳴らすこの横綱の常だったが……。

 立ち合いで雅山を組み止められず、まともに突っ張り合った。34キロも軽い自分には不利な展開と分かっていながら、「相手に相撲を合わせてしまった」のは初日と同じ。一度はまわしに触れたが、つかめない。最後は完全な圧力負け。のしかかってくる相手の腕を手繰って逆転を狙い、執念は見せたが、それも及ばず土俵下に転落した。

 序盤に調子が出ず、雑な相撲を取ることは、最近は珍しくない。それでも、がむしゃらな気迫で黒星を最小限で食い止め、中盤からグイグイと上昇気流に乗るのが、ここ数場所の優勝パターンだ。それが、ついに破たん。「がむしゃらさが、いい方向じゃなく逆に働いている。地に足がついていない」と、北の湖理事長は悪循環を指摘した。

 横綱在位25場所。百戦錬磨の自負の裏側で、新たな試練に気がついたのだろうか。横綱として初の連敗スタートに話が及びかけた時、「いいんじゃないのか」とにらみつけたが、いつものすごみは薄れていた。(込山駿)

http://www.yomiuri.co.jp/sports/sumo/news/20070312iew0.htm