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2007年03月13日(火) 08時53分

特定機能病院の倫理委、大半で国の指針違反…読売調査読売新聞

 医学研究や医療行為を審査する「倫理委員会」について、読売新聞社は、全国の大学病院など高度な医療を行う「特定機能病院」を対象に審査の実情を調査した。

 回答のあった委員会のうち、国の研究倫理指針の対象となる156委員会のほぼすべてに違反があった。委員構成の偏りが目立ち、情報の公開度が低いこともわかった。

 調査は、大学病院の本院など計83施設と、その母体の大学医学部などが設置した計205委員会に詳細なアンケートを行い、78施設の計175委員会から回答を得た(回収率85%)。

 厚生労働省や文部科学省などは、医学研究の国際原則「ヘルシンキ宣言」をもとに、六つの分野について指針を作り、倫理審査の基準を示している。

 その指針の対象となる156委員会について、順守状況を分析すると、女性や外部の委員がいない、法律家や倫理の専門家がいないなど委員構成の不備が目立ち、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」を扱う委員会は76%、「臨床研究」では70%が指針の基準を満たしていなかった。

 また、全指針が審査対象となる研究者の審議参加を禁止しているのに、除外しない委員会もあった。

 最も違反率が高いのは情報公開。委員名簿や議事要旨、研究計画を「外部に非公開」とし、研究結果の公表も義務付けていない委員会が多く、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」「ヒト幹細胞臨床研究」など4指針を扱う委員会で、違反率は90%を超えた。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070313it01.htm