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2007年03月13日(火) 00時00分

めざせ千葉型プロバスケ朝日新聞

 地元バスケットボールチーム「千葉ピアスアローバジャーズ」がプロ化に向けて動き始めた。企業チーム中心の国内バスケ界にも今秋、完全プロ化を念頭に置いた新しいトップリーグが立ち上がる。有力支援企業のいないバジャーズも、経営基盤の強化を図り、同リーグへの早期参入を狙う考えだ。目指すは地域密着型の「プロの市民クラブ」。まずは、地元で支援企業探しに奔走している。(津田六平)

 4日に佐倉市民体育館であったJBL日本リーグのプレーオフ決勝戦。約1500人の観客が見守る中、バジャーズが連覇を達成した。2年連続で最優秀選手(MVP)に輝いた岡村憲司選手(33)は「勝因はチームの連帯感」と喜んだ上で付け加えた。

「勝つことで、千葉でバスケが盛んになってほしい」

 館山市出身の古宮正晴・代表兼監督が、県立安房高校バスケ部OBらと71年に結成したクラブが前身だ。チーム名の由来は、房総半島に生息するバジャー(アナグマ)。05年に日本リーグ(2部に相当)に初参戦し、いきなり優勝した。

 企業スポーツ中心の国内バスケ界で、異色の存在だ。選手はそれぞれ仕事を持ち、大学生もいる。遠征の移動費はすべて自費。ユニホームやボールは寄付に頼る。週2回の練習場所は、無料で借りられる高校の体育館。運営費は年間数百万円で、後援会の会費などで賄っている。

 国内バスケ界は、サッカー・Jリーグのようなプロリーグ創設を最大の目標としている。10月には新リーグ「日本バスケットボールリーグ」が発足する。試合の興行権を各チームへ移行し、完全プロ化を目指す。

 バジャーズも、この新リーグに手を挙げた。当初は参加が内定していたものの、(1)安定的な経済基盤があるか(2)主会場を安定的に確保できるか——などで課題を指摘されて、発足時の参加は見送られた。

 新リーグ参加チームの運営資金の目安は、年間2〜3億円とされる。大企業の支援を受けるJBLのスーパーリーグ(1部に相当)の7チーム以外で参入が決まったのは、北海道のチームだけだった。

 ただ、JBL側は引き続き、バジャーズに期待を寄せている。「地域に根ざすのがプロリーグの最終形。そういう意味で大事なチーム」。新リーグは2年目以降もチーム数を増やす予定だ。

 県内企業を中心に支援を呼びかけている古宮代表は「最低でも年間1億数千万円の運用資金が必要。市民チームでもやれることを証明したい」と意気込みを語る。

 その目標は「(千葉市などを本拠地とする)プロ野球・千葉ロッテやサッカーJリーグ・ジェフ千葉を超える地元密着型のプロ」。そのため、地域交流にも力を入れている。

 高校や大学のバスケ部と一緒に練習する。子どもを対象としたバスケ教室に選手を派遣する。県内出身の選手の獲得にも積極的で、高橋誠選手(28)も千葉市緑区出身だ。「地元選手の活躍が千葉の盛り上がりにつながる」と高橋選手。

 県バスケットボール協会によると、県内の競技人口は3万人弱で全国でもトップクラス。「バスケが盛んなこの千葉にクラブを根付かせたい」と古宮代表も夢を語る。

 チームを支える後援会員も募集中。問い合わせはバジャーズ事務局(コスモ観光内電話0470・23・7353)へ。

 国内バスケットボールのプロリーグ 実業団チームからプロチームへの移行方針をめぐり、一部チームが、日本バスケットボール協会傘下の日本リーグ機構(JBL)を脱退して、05年に国内初のプロリーグ「bjリーグ」を発足させた。これに対抗する形で、JBL側も07年10月、新しいプロリーグ「日本バスケットボールリーグ」を立ち上げる。ただ、支援企業の意向もあり、当面は企業チームとプロチームが混在する見通しだ。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000703130003