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2007年03月13日(火) 02時37分

光医療、経済効果700億円──産業バレー構想今夏始動、京大や島津参加 まずがん放射線治療機器日経新聞

 関西にレーザーと医療の両技術を融合して新産業の創出を目指す「光医療産業バレー構想」が今夏に動き出す。日本原子力研究開発機構と「けいはんな新産業創出・交流センター」(京都府精華町)が中心となり大学や企業と連携して、まずがんの放射線治療用機器を開発する。新産業の経済効果は700億円以上との試算もあり、産業集積を目指し産学官の参加を呼びかける。

 開発は日本原研の関西光科学研究所(京都府木津川市)が中核となり、京都、大阪大学など五大学・研究機関、島津製作所やシステム開発の日本エクス・クロン(東京、後藤徹也社長)など10社前後の研究者が参加する。まず20人程度でスタートし、50—60人程度まで拡大する方針。7月にも研究活動を開始する。

 治療用機器は「陽子線」と呼ぶ放射線の一種を使ってがんをピンポイントで狙い撃ちする。体の深部にできた病巣の治療に効果が高い。3—5年後に皮膚など体の表層に近いがん治療用の機器を実用化、その後は改良を加え2017年までに膵臓(すいぞう)がんなど体の深部まで治療可能な機器になることを目指す。機器の大きさは奥行き5メートル、幅3メートル程度。

 日本原研は高いレーザー技術を保有しており、医療分野に強い京阪奈地区の大学・企業との連携でいち早い機器開発が可能になるとみている。




http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/38861.html