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2007年03月13日(火) 00時00分

市場開拓 「東京」から「立川」ウドへ 朝日新聞

 地下の暗闇でモヤシのように育てられる真っ白なウドは、江戸時代から栽培が続く東京の数少ない地場野菜だ。最大産地の東京都立川市は今年から、独自ブランド「立川こまち」の出荷を始めた。従来品より短くて柔らかく、値段も手ごろ。料亭で出される高級野菜のイメージから一般家庭向けにもアピールし、新たな市場開拓を狙う。

 立川市は都内収穫量の4割を占める。だが、「東京うど」の統一ブランドで出荷されるため、最大産地の立川をアピールできない。同市砂川町の生産農家、山下明さん(42)は「市場関係者は『立川ウド』を知っている。だけど、肝心の消費者が知らなければ意味がない」。

 細くて白くて柔らかい——色白女性のイメージから「立川こまち」の名が付いた。従来品と違い、ブランド名入りの透明フィルムで個別包装されて出荷する。ばら売りでも産地をアピールできる工夫だ。長さは約60センチ。従来品の3分の2の短さだ。価格は1箱2.5キロ(ウド5〜6本に相当)で2千円前後。同じ本数が入った従来品(4キロ)より千円ほど安い。

 市産業振興課の桜井昭夫係長は「自転車の買い物かごに入る手頃なサイズ。東京名物をもっと広く食べて欲しい」と期待を込める。

 生産者にもメリットが大きい。通常より10日ほど早い25日前後で収穫できる。長さが短いため、地下3〜4メートルの穴蔵での収穫作業が楽になる。また、これまでウドの根株を群馬県内で委託栽培していたが、短くて細い立川こまちは地元で育った根株で栽培できる。コスト削減につながるという。

 かつて60軒近かった立川市内の栽培農家は、現在26軒。うち40歳代の後継者がいる農家は9軒しかない。生産農家でつくる「立川市うど生産組合」の鈴木孫三郎組合長は「消費者にも農家にもメリットがある。スーパーなどで積極的に売り込みたい」と話した。

http://mytown.asahi.com/tama/news.php?k_id=14000000703130002