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2007年03月13日(火) 00時00分

首長退職金根拠は「?」〜07統一地方選〜朝日新聞

●市長村議には無いけれど…

相場1千〜2千万円 一部に見直しの動き

 統一地方選の後半選挙は、私たちが住むまちの首長と議員を選ぶ。今回県内では10市町で首長選がある。任期満了を迎える首長には当落にかかわらず多額の退職金が支払われるが、同様に選挙で選ばれた市町村議にはない。なぜ首長だけに退職金が払われるのだろうか。一宮市の谷一夫市長が退職金の受け取り辞退を表明するなど、首長自身から見直しの動きが出ている一方で、自治体の担当者からも首長退職金の根拠について明確な理由は聞かれず、よく分からないままに支払われているのが実情のようだ。
 今回首長選のある県内10市町の首長に支払われる退職金の総額は約1億8千万円。1千〜2千万円台が相場で、統一地方選では選挙のない一般市の多くも2千万円前後だった。4年間に対する額としては破格と言える。
 退職金の計算方法はほぼ同じだ。豊明市や大口町のように県市町村職員退職手当組合に加盟する自治体は、「月額給与」×「48(月数)」×「100分の45」で計算。独自条例がある江南市のように、月数ではなく年数の「4」を乗じるケースも多いが、係数が「100分の450」などと増える(表参照)。
 計算の仕方について自治体担当者の回答は「過去からの経緯」「ほかの自治体とバランスを取るため」「元々の根拠は分からない」などあいまいな返答がほとんどだった。
 では、なぜ支払うようになったのか。根拠とする条例が定められたのが1950年代から70年代などと、かなり古いこともあり、「分からない」が大勢を占めた。「慰労や功績」「市長は職員なので退職手当がある」「議員と違い常勤なので」という回答もあった。
    ◇
 経緯などがはっきりしないまま支払われている形の退職金だが、受け取る首長に、疑問視する声は少なかった。
 退職金を含めた給与制度の見直しが必要と考えるのは増岡錦也・瀬戸市長。「市長が受け取るのは報酬だが、職員の給与と同じように考えられている。市長報酬は生涯給与なのか、能力給なのかという問題がある。給与制度全体の見直しが必要だ」と指摘する。
 03年に、町長の給与引き下げを公約に掲げて初当選した東栄町の森田昭夫町長は給与と退職金を減額した。退職金制度の是非には触れないが、「町長が財政再建の先頭に立つべきだ」と減額の理由を語った。
 2月の知事選で敗れた石田芳弘氏が「退職金ゼロ」を表明したように、選挙で退職金減額などを訴えるケースも多い。
 だが、今期限りでの引退を表明している都築龍治・豊明市長は「一部に退職金カットを持ち出す首長がいるが、困難な課題を避けて市民にアピールする手段ではないか」と批判的だ。山本一義・吉良町長も「こうした風潮は好ましくない」。
 「額も基準も適切だ。特別職だけ退職金ゼロはおかしい」は白井孝市・田原市長。堀元・江南市長は「県内でも低いランクで妥当だ」と話した。

 統一地方選で市長、町長選がある県内の自治体の首長の退職金

自治体    退職金額        拠出式          備考
瀬戸市   2348万2千円   月額給与×4年     年数は1年未満の場 
                  ×100分の590       合は切り捨て
津島市   1864万円     月額給与×4年     現市長には在職期間
                  ×100分の500      の3年で計算した額
                                 1398万円が支払われ
                                 る。年数が1年未満  
                                 の場合は切り捨て                           
江南市   1729万8千円   月額給与×4年
                  ×100分の450
豊明市   2149万2千円   月額給与×48カ
                  月×100分の45
田原市   2008万8千円      同上
大口町   1985万400円     同上
美和町   1782万円        同上
美浜町   1738万8千円      同上
吉良町   1846万8千円      同上
東栄町   1188万円        同上

退職金と拠出式はいずれも任期満了の場合

http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000000703130004