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2007年03月13日(火) 00時00分

新市民球場建設に談合摘発の余波朝日新聞

 全国で続く談合事件の摘発が、広島市の計画している新しい市民球場(南区・JR貨物ヤード跡地)の建設に影を落としている。入札に意欲を示す大手建設会社が市の規定で続々と「指名停止」となっているためで、今月には「スーパーゼネコン」3社の参加が事実上、不可能になった。昨年春には防衛施設庁の官製談合事件のあおりで設計・建設コンペがやり直しになっただけに、09年春のオープンを「至上命題」とする市にとっては頭の痛い日が続きそうだ。(武田肇)

 広島市が今月、指名停止にしたスーパー3社は大林組(大阪)、鹿島(東京)、清水建設(同)。名古屋市発注の地下鉄工事をめぐって公正取引委員会から独禁法違反容疑で告発されたのに伴う措置という。期間は13カ月から24カ月で、8月末に予定されている新球場の一般競争入札には間に合わない。3社はいずれも昨年3月の新球場設計・建設コンペに共同企業体(JV)の筆頭企業として応募し、今回も入札参加の可能性が高いとみられていた。

 市は3社のほか、知事が逮捕された和歌山、福島県の談合事件などで摘発された18社(12日現在)を指名停止にしている。うち11社は新球場の入札登録日までに停止が解けるが、04年に摘発された新潟市の官製談合事件では約80社が昨年以降、相次いで談合を認めており、指名停止企業はさらに増える見通しだ。

 一方、市にとって今年10月に着工し、09年春のプロ野球開幕までにオープンするというスケジュールは、約90億円の工費の半分程度の負担を求める経済界や県と合意した「単なる目標を超えた至上命題」(同市)。スケジュールの大幅な遅れは、費用分担問題にも影響を及ぼしかねない。

 新球場担当の浜本康男・都市活性化局長は「今のところ、建設スケジュールへの影響はない」と言い切る。「大手が指名停止になっても、対応できる技術力を持っている企業はほかにもある」というのが根拠だ。

 もう一つ市が希望をつなぐのは外国企業の参入。政令指定市が発注する23億4千万円以上の工事は、外国企業の参入を促す世界貿易機関(WTO)の政府調達協定に基づいて外資も入札に参加できるためだ。しかし、過去に外資が落札した市の発注工事は00年、大手ゼネコンとJVを組んだ韓国企業による袋町小学校(広島市中区)新築工事の1件だけだ。「タイミングが悪いことは確か」。担当職員の一人は話している。

http://mytown.asahi.com/hiroshima/news.php?k_id=35000000703130001