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2007年03月13日(火) 00時00分

くるりがウィーンでレコーディング朝日新聞

 ロックバンドくるりが、音楽の都ウィーンで新曲とアルバムのレコーディングを行っている。クラシックの本場で、日本のロックバンドがレコーディングするのは初めて。世界的にも異例の試みだ。デビュー10年目でメンバー脱退の転換期を迎え、「新たな刺激を」と、クラシックをスパイスにする新たなロックに挑んでいる。

 モーツァルトが活躍し、ウィーン中央墓地には、ベートーベン、ブラームス、シューベルトらが隣り合わせで眠る。路上では若者がクラシックを奏でる音楽の都で、新たなロックを目指している。くるりは10年目の今年1月、ギター大村達身(31)が脱退しボーカル岸田繁(30)ベース佐藤征史(30)の2人になった。

 2月上旬、日本のロックバンドとして初めてウィーンのレコーディングスタジオを本拠地にした。オーストリア、ドイツ、フランス人のスタッフとは英語で会話する。日本や英米のように、コンピューターを駆使した最新録音機器はない。「僕たちはもともと、アナログな手法のようで、不便はないです」と、居心地の良さを感じている。

 5月発売の新曲と6月発売のアルバムのレコーディングは5月上旬まで、3カ月に及ぶ。もともとクラシックが好きだった岸田は昨年末、旅行で同地を訪れた。これまでもメランコリック調、爆音ギターロック、テクノ、60年代バンドテーストなど、どのアルバムも違ったテーマを持った。

 「10年はバンドの平均寿命を超えていて、続けていくためには常に刺激が必要。だれもやっていないことをやるべきだと思った。いつも他の音楽から刺激を受けていて、今回はそれがクラシックだった」。

 仕事の合間にカフェやクラシックコンサートに出掛ける。宿舎に戻り、聴いたばかりのモーツァルトのコードをギターで弾くこともある。岸田は「ベースにベートーベンを取り入れたり、本当にクラシックが好きでないと作れない曲になる。頭がグチャグチャになっても、モーツァルトを聴くと頭が整理されたりする。モーツァルトを聴くと頭が良くなるって本当かも」。アルバムタイトルは、通っている老舗のカフェ「ハベルカ」とする予定。ウィーンの薫りのする優雅なロックが生まれる。【岩田千代巳】

http://www.asahi.com/culture/music/NIK200703130011.html