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2007年03月13日(火) 18時22分

社保庁解体を閣議決定 国税庁に強制徴収を委任朝日新聞

 政府は13日、社会保険庁の廃止・解体法案を閣議決定し、国会に提出した。2010年1月をめどに社保庁を廃止し、年金業務は非公務員型の公法人「日本年金機構」に移管、実務は民間委託を進め、悪質な滞納者に対する強制徴収は国税庁に委任することなどが柱。民間委託する業務の範囲や公法人の職員採用基準は有識者でつくる第三者機関で検討する。一連の不祥事と非効率な運営に対する批判を機に始まった社保庁改革は、いったん提出した法案が廃案になるという曲折を経てようやく国会審議の入り口に立った。

社会保険庁の分割・解体案

 この日の閣議では、法案の決定とともに、安倍首相は第三者機関の設立や人選、国会対応を渡辺行革担当相が行うよう指示した。

 法案によると、社保庁の年金業務は(1)年金制度の運営責任や特別会計の管理などは厚生労働省(2)保険料徴収や給付、年金記録管理などの業務全般は年金機構(3)徴収や給付などできるだけ多くの実務を民間委託——と大きく三つに分ける。さらに悪質な保険料滞納者について厚労相は、強制徴収の権限を国税庁長官に委任することができる。

 年金機構と民間委託の業務の仕分けは、内閣官房の下に新たに設ける第三者機関「年金新組織改革推進会議」(仮称)が検討する。社保庁の医療部門については、中小企業向けの政府管掌健康保険組合(政管健保)の運営を08年10月に公法人の全国健康保険協会に移管、病院や診療所の指導監督は地方厚生局が担うことが決定済み。社保庁の業務は年金・医療両部門で計6分割されることになる。

 社保庁の職員は一度退職し、第三者機関「職員採用審査会」(仮称)が、公法人に移る職員の採否を審査。不祥事で処分された職員らが「勤務実績が不良」と判断され、厚労省や他省庁への転任もできなかった場合は、本人の意思にかかわらず退職させる「分限免職」を実施する。

http://www.asahi.com/politics/update/0313/013.html