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2007年03月13日(火) 12時09分

アニメ批評:「やわらか戦車」 フラッシュアニメの年度代表作 光るセンスで業界にインパクト毎日新聞 まんたんウェブ

 いまや「06年を代表するアニメの一つ」と言えるのが、この「やわらか戦車」だ。作品自体は、なぞのキャラ「やわらか戦車」の日常を描いたわずか1分のフラッシュアニメーションにすぎないが、それまでアニメ業界からは「動かない、短い、素人くさい」と見られがちだったフラッシュアニメにインパクトを与え得たのはひとえに「作者」の持つセンスに尽きるだろう。

(パッケージ画像はこちら)

 我々が普段目にする「テレビアニメ」は実は工房によって作られる一種の工業製品である。その工業製品にどこまで「創造性」を与えて「作品」にするかが、監督の力量と言っていい。これに対して作者のラレコらインディーズ出身作家のアニメは、初めから個人を担保とした「作品」である。それゆえに、作者個人の持つセンスや能力が否応なしに作品に反映される。

 その意味で「やわらか戦車」はキャラの持つかわいさやくだらなさ、あざとさ、そしてそれらを包括したシニカルさも含めて、作家として十分な力を感じさせる作品と言える。なお今回のDVDでは7分に及ぶ新作長編も収録されているが、これもオススメ。【川中利満】

やわらか戦車 ジェネオンエンタテインメント 2940円

◇筆者プロフィル

川中利満/編集者。80年代半ばからマンガ・アニメ・特撮などの雑誌媒体で活躍。編著に「ほしのこえを聴け」。

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