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2007年03月12日(月) 22時57分

日本IBM、グリッドコンピューティング研究支援サイトを日本語化朝日新聞

 日本IBM(大歳卓麻社長)は3月9日、グリッドコンピューティングの研究貢献活動「ワールド・コミュニティー・グリッド」のウェブサイトの日本語版を開設し、日本からのボランティアの参加を本格的に促進していくと発表した。

 「ワールド・コミュニティー・グリッド」はグリッドコンピューティング技術を用い、世界中のコンピュータのアイドリング時の膨大な処理能力をネットワークで結集し、医学や環境などの難問解決のための研究を支援するもの。ウェブサイトから無料のソフトをPCにダウンロードすることで、世界中の誰もが簡単に人道的貢献に参加できる。

 現在、世界200か国以上、331のパートナー、26万人強のボランティアが参加し、約54万台のコンピュータ資源が提供されている。活動開始以来、約2年間で寄付されたコンピュータの稼働時間は、PC1台の稼働時間に換算すると7万9000年分、PC1万台が約8年間連続して稼働した処理能力に相当すると言われ、現在でも、PC1台の稼働時間に換算して毎週平均1000年分の処理能力を提供し続けている。

 同プロジェクトの第1弾として04年11月に発足した「ヒトたんぱく質解析」は、約12万のタンパク質ドメインの構造を解明し、06年7月に終了した。従来の研究機関が持つ計算能力では、同じ成果を得るために約100年かかるところを、12か月で終了できたという。

 現在は、「FightAIDS@Home」「ヒトたんぱく質解析 フェーズ2」「がん撲滅支援」「ゲノム比較」「筋ジストロフィー治療支援」の5つの公的、または非営利団体が実施する研究プロジェクトを支援しており、今後、気候予測、米供給のモデリング、鳥インフルエンザ、デング熱などの研究プロジェクトを支援する予定。

 日本IBMでは、今回の日本語サイトの開設を機に、同活動のパートナーとして参画する企業や学術機関、人道支援団体との協力を推進し、日本からの支援の輪を広げたい考え。

http://www.asahi.com/digital/bcnnews/BCN200703120008.html