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2007年03月12日(月) 20時52分

取材録音を第3者に、毎日新聞記者を諭旨解雇朝日新聞

 東京・南青山の土地取引に関して国会で質問した糸川正晃衆院議員(国民新党)が脅迫された事件にからみ、糸川議員を取材した録音データが漏洩(ろうえい)し、1月にインターネット上のブログに掲載された問題で、毎日新聞社は12日付でデータを外部に漏らした大平誠・元東京本社社会部記者(41)=東京本社代表室付=を諭旨解雇とし、上司5人を役職停止や役員報酬返上とする処分を発表した。同社は13日付朝刊で調査結果を公表する。

 同社によると、大平元記者が取材した録音データが入ったICレコーダーを相手の了解なしに第三者の取材協力者に渡した行為について、「記者として守るべき一線を越えた許されない行為」と判断した。ただ、昨年5月に取材協力者にICレコーダーを渡す際、他人に聞かせないことを念押しし、その後も返却を再三要請していたことから、懲戒解雇ではなく諭旨解雇としたという。

 録音データを渡した理由について、大平元記者は「長年の親交があった取材協力者から求められたうえ、取材の手詰まり感があり、さらに情報を得て大きな記事を書きたかったため」と答えたという。取材協力者は元暴力団組長の画家の山本集氏(66)だった。

 監督責任を問われた5人の処分は次の通り。

 執行役員東京本社編集局長伊藤芳明 役職停止1カ月▽東京本社編集局次長(取材記録提供時の社会部長)河野俊史 同1カ月▽同社会部長斉藤善也 同15日▽常務東京本社代表(同編集局長)観堂義憲 役員報酬返上30%・1カ月▽常務主筆・編集担当朝比奈豊 同20%・1カ月

 〈朝比奈豊毎日新聞社主筆・編集担当の話〉 ご迷惑をおかけした方々に心よりおわびいたします。読者の皆様の信頼を損ない、誠に申し訳ありませんでした。今回の問題を教訓に、取材記録の厳重な取り扱いをはじめとした取材活動の基本を、日常の記者指導や研修で徹底します。

http://www.asahi.com/national/update/0312/TKY200703120409.html